エンゼルス&ドジャースだけではないスポンサー候補 米ヤクルトが目指すスポーツ振興の矜持
THE ANSWER / 2024年6月22日 7時53分
■今季からドジャースとスポンサー契約
今季から米大リーグ・ドジャースとスポンサー契約を締結した乳酸菌飲料などを手がける大手メーカー「ヤクルト」。2008年からエンゼルスとスポンサー契約を結び、2018年に大谷翔平投手が入団した時から始まった縁はドジャースでも続くこととなった。6回にわたって伝えるヤクルトのドジャースに対する思い。第5回はドジャースとエンゼルスの2球団のスポンサーを続ける意義について。現地法人・アメリカヤクルト株式会社の三角豊代表取締役社長兼CEOに今後のMLBとの関わり方についても聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・瀬谷 宏)
世界有数のプロバイオティクス飲料とされるヤクルトは、1935年に日本で誕生。アメリカヤクルトは1990年に設立され、2014年に米国初の製造拠点をカリフォルニアに建設した。健康を意識した商品製造する企業としてスポーツ振興にも力を入れており、地元球団であるエンゼルスとは2008年からスポンサー契約を結んだ。そんな中で2018年に大谷がエンゼルスに入団。三角社長は「“たまたま”来てくれました。運が良かったです」と話すが、ここからMLBとの関わり方も変わってきた。
「やはり我々は健康を意識した製品を作る企業として、スポーツ振興を続ける意味でも地元球団との関わりは欠かせません。もともとエンゼルスとスポンサー契約し、今年からドジャースと契約。大谷選手の移籍が後押しになったかもしれませんが、だからといってエンゼルスとの契約をやめることはありません。長期的にお付き合いしたいというのは両球団にもお伝えしています」
そんなヤクルトのもとには、他の球団からも“オファー”があるという。「正直申しますと、いくつかの球団から声がかかっているのも事実です。将来的に売り上げが上がって、全米に浸透したところで考えたいというところです」(三角社長)
この「全米に浸透」というのはヤクルトにとって簡単なことではないと認識している。三角社長はこんな話を教えてくれた。
「2007年に西海岸から本格的に事業を始めたので西海岸での認知度が高いのですが、東海岸のほうではまだまだ。それに加え、ヤクルトはヒスパニック系の方々の認知度が高い。特にメキシコでは米国の5倍以上の売り上げがあります。当時、そんなに広告を打たなくても、ヒスパニック系の方が多いカリフォルニアではヤクルトを知っている方が多かった、という状況でした。現在は全米で販売していますが、第2工場の稼働も予定しており、東海岸でも更に認知度を高めていきたいと考えております」
現在はエンゼルスとドジャースの2球団との契約だが、将来的に他のMLB球団へのサポートも視野に入れ、東海岸への進出にも本腰を入れる態勢も整いつつある。
三角社長は「MLBに広告を出すということで、企業としての信頼度が上がるというのはあります。それを一番感じるのは、人を雇う際の面接などで『エンゼルスの球場で見たことがある』といってもらえると、やはり効果はあるんだなと」。そこにはスポーツ振興を掲げる企業としての矜持がある。(THE ANSWER編集部・瀬谷 宏 / Hiroshi Seya)
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