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チェコ代表右腕がWBCで切り開いたデザイナーへの道 アパレルに“仕込んだ”隠し文字「よく見れば読める」

THE ANSWER / 2024年6月26日 6時43分

22歳のメルガンス、今回は自費で来日しガールフレンドと東京を満喫【写真:羽鳥慶太】

■自らデザインしたWBCグッズが高評価…スポーツメーカーに就職

 野球チェコ代表のダビド・メルガンス投手は、本職がデザイナーというちょっと変わった二刀流。昨年3月にはワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で代表の一員として来日し、日本の野球人気に触れた。それから1年強が経った今年6月、今度は自費でガールフレンドと来日。「THE ANSWER」の取材に応じ、当時の思い出やデザイナーとの“二刀流”生活について明かしてくれた。WBC直後にデザインした和風グッズが、その後の人生を切り開いてくれたという。

「野球をやっていなければ、今の仕事はしていない。野球をしてきたことを全く後悔していません」

 メルガンスは22歳の右腕。同時にデザイナーとしても活動しているという多才ぶりだ。WBCを終えると、大会をテーマにしたキャップやパーカー、Tシャツをデザインした。これがSNSを中心に拡散され評価が急上昇。今年2月からはチェコの有名シューズメーカー「BOTAS」でクリエイティブマネジャーの職を得るのにつながった。首都プラハで働くために生まれ育った東部の街ブルノを離れ、国内リーグのチームも移籍。今季からは「テンポ・プラハ」でプレーしている。

 デザインしたアパレルは、チェコ代表の帽子にあるロゴ「CR(チェコ共和国)」や、東京ドームに桜をかけ合わせたイメージで展開。さらに漢字のようで、漢字でない文字が並ぶ。何からアイデアを得たのか聞くと、意外な答えが返ってきた。

「これ、実はアルファベットなんです」と言うのだ。「CR(チェコ共和国)JAPAN WBC2023」に加え、チームのスローガンだった「Small Country Big Dream(小さな国の大きな夢)」というチェコ語を、筆文字風にデザインしたのだという。「呪」のように見えた帽子の文字も、言われてみれば、「CR」に見えてくるから不思議だ。「チェコ人が見て『何のことかな?』と思ってもらえたら。よく見れば読めるというのが狙いなんです」。

 現在は月~木曜日に仕事と練習をこなし、金土日が試合という日常を送っている。ただデザイナーとしては「アイデアはいつ出てくるかわからないから。思いついたらすぐPCに向かうようにしているよ」と年中無休だ。ガールフレンドと一緒に映画を見ていて、突然思いつくこともある。「そこで画面を見ていて注意されたこともあるよ」と頭をかく。

 チェコにはプロ野球がない。WBCの際に話題になったように、国内のトップ選手もみな別に仕事を持つセミプロだ。だからメルガンスも「野球は年齢的にもいつか引退しないといけない。そういう意味ではあまり夢は持っていない」と、正直に今後のライフプランを語る。「代わりにデザインで、野球をみんなに知ってもらうことはできる。将来的にはデザイナーの道でやっていきたいと思っています」。大好きな野球に、人生をかけて取り組んでいくつもりだ。(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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