「僕が宇野選手の代わりになることはできない」 囲まれた記者に冷静な言葉、21歳鍵山優真が見せたい「本気」「情熱」「大人っぽさ」
THE ANSWER / 2024年10月19日 7時13分
■GPシリーズ開幕、鍵山は11月の2戦に出場予定
フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズは、18日(日本時間19日)開幕の第1戦スケートアメリカから戦いの火蓋が切って落とされる。日本勢の活躍も期待される中、男子シングルを引っ張る一人が2022年北京五輪銀メダリストの鍵山優真(オリエンタルバイオ)だ。11月の第4戦・NHK杯、第5戦フィンランド大会に出場予定。9月30日の新シーズン開幕会見では、高ぶる気持ちを口にしていた。
会見には各選手が、今季のテーマに合わせて作られた特別な衣装をまとって登壇。「大人っぽく情熱的に」をテーマに掲げた鍵山は、上下チェック柄のシックな装いで現れた。
「(衣装に)着られているっていう感覚がちょっと強いですね」。苦笑いしつつも、昨季までとは違った自分へと進化を誓う。
「今までは思い切りの良さだったりとか疾走感みたいなのがあったんですけど、ハタチも超えたので、子供っぽさを捨てて大人っぽくというか、宇野選手たちみたいなシニアの貫禄のある滑りを目指していけたら」
会見を終え、多くの記者に囲まれた21歳。6学年上で、互いに刺激を与えあってきた存在の宇野昌磨さんが、昨季限りで引退した。羽生結弦さんも含め、北京五輪男子シングルにともに出場した2人が競技から離れた。
この日、会見でMCを務めた宇野さんが「本当に素晴らしいものはもう今からでも目に見えている」と評したように、鍵山は現時点で実績No.1。五輪のほかにも全日本選手権、GPファイナル、世界選手権など大舞台の表彰台を経験し、日本を牽引する期待もかかるが、本人の口ぶりはいたって冷静だ。
「僕が宇野選手の代わりになることはできないですし、僕自身、1人で背負っていくなんて気持ちは全くない。やっぱり今は日本男子みんなが本当に強くなって、切磋琢磨してっていう状況。僕たちはパフォーマンスすることしかできないですが、少しでも皆さんにスケートの魅力が伝えられればいいのかなと思います」
会見に出席した鍵山(前列右から3番目)はシックな衣装も苦笑い「着られているっていう感覚が強い」【写真:編集部】
■4回転ルッツに磨き、見せたい「本気」「内側から震えるような情熱」
9月のロンバルディア杯では、合計312.55点を獲得したイリア・マリニン(米国)に次ぐ2位(合計291.54点)。「4回転の神」の異名を持つ19歳は日本選手の高い壁となって立ちはだかりそうだ。
今季のGPシリーズで、鍵山とマリニンの直接対決は12月のGPファイナルまでない。鍵山は「自分の新しいプログラムを滑りこなすのに精いっぱい。まだそんなに他の人との距離とかを考える余裕はなかった」とロンバルディア杯を振り返りつつも「しっかりと仕上げて、少しでもプレッシャーを与えるというか、これだけ本気なんだっていうのを皆さんにお見せすることが出来たら」と語る。
このオフは4回転ルッツに磨きをかけ、スタミナの向上にも取り組んだ。
「(4回転ルッツは)単発ではすごくいい感じになってきている。フリーはフラメンコで、初めての挑戦。手の表現だったりとか、足の細かいステップだったりがすごく難しい。時間を作ってトレーニングしています。
4回転をもっと増やしていくために、疲れた中でも4回転が跳べるようにっていう瞬発力のトレーニングをこれからはしていこうと思います」
ショートプログラム(SP)、フリーともに、イメージは「内側から震えるような情熱」。今夏のパリ五輪は現地観戦し、大いに刺激を受けた。「僕も見ている人を震え上がらせられるようなパフォーマンスを」。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向けたプレシーズン。金メダルを思い描き、日々邁進する。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)
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