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涙の代表落ち悲劇を忘れない元女王 体脂肪7%で蘇った福部真子が五輪王手「徹底的に減量した」

THE ANSWER / 2024年6月30日 8時10分

女子100メートル障害準決勝で駆け抜ける福部真子【写真:奥井隆史】

■陸上日本選手権

 今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた陸上・トラック&フィールド種目の日本選手権第3日が29日、新潟・デンカビッグスワンスタジアムで行われた。女子100メートル障害準決勝では、28歳の福部真子(日本建設工業)が自身の日本記録まで0秒02に迫る12秒75(追い風0.8メートル)の全体トップで決勝進出。世界陸上出場を逃した昨年4位の悲劇を乗り越え、体脂肪率7%の肉体を作り上げた。参加標準記録12秒77を突破したため、優勝すれば悲願の五輪切符獲得となる。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 女王が強くなって戻ってきた。準決勝。福部は序盤から先行し、トップで駆け抜けた。電光掲示板のタイムは12秒75。どよめきに包まれる中、うつむいた。感極まり、表情を崩す。「優勝しか狙っていない。明日は雨の予報なので今日しかないと思って気合い入れて走った」。握った拳には1年前の悔しさが込められていた。

 昨年大会は悲劇に見舞われた。大混戦の決勝。場内速報では自身が1位と伝えられた。一度は喜んだが、場内表示が誤っており、実際は4位。ブダペスト世界陸上を逃し、レース直後から涙した。

「あの瞬間を1回も忘れたことがない」

 かねて着手していた肉体改造に磨きをかけた。「500グラムでいいから減らしたい」。スピードと跳躍力を兼ね備えた肉体へ。脂質をカットし、1日2食の日も。「お肉は食べない。徹底的に減量した」。体脂肪率は10%から7%に減少。日本記録を出した2022年の8%よりもバキバキに仕上がった。一方で体重は2キロ増の59.2キロ。それだけ筋肉量が増えた証しだ。


1年前の悲劇を乗り越え、肉体を作り上げた【写真:奥井隆史】

■今は笑って悲劇を振り返る「踏ん張って、踏ん張って、踏ん張って…」

 地道な筋力トレーニング、食事管理を乗り越えられたのも「あの瞬間」があったから。今では満面の笑みで悲劇を振り返る。

「去年が一番しんどかった。皆さんに慰めてもらって、今年は喜んでいただいた。幸せな選手だなと感じました。あれがあったから踏ん張れた。メンタルも成長できたし、『あの出来事があってよかった』とやっと言える。挫けそうなところで踏ん張って、踏ん張って、踏ん張って、自分と向き合うことをやめずに来たから走れた」

 近年、記録が急激に伸びた日本の女子100メートル障害。五輪代表3枠へ、この日は予選から火花が散った。25歳の田中佑美が大会記録を0秒03上回る12秒91(追い風0.2メートル)の1組1着。しかし、3組の福部が12秒85(向かい風0.6メートル)で大会新を塗り替えた。昨年女王の元日本記録保持者・寺田明日香も12秒95(追い風0.6メートル)の好タイム。それぞれが五輪に懸けている。

 高校時代にインターハイを3連覇した福部。一時は「天才」という肩書きに苦しんだが、2022年日本選手権で涙の初優勝を飾った。同7月のオレゴン世界陸上でも準決勝進出。パリ五輪で狙うのは日本人初の決勝進出だ。「パリで勝負ができないと、オレゴンから何も成長していないことになる」。そのために王座を奪還する。

「今年は絶対に笑顔で終わりたい。特大の笑顔でゴールできれば」

 あと10台のハードルを一番で越えた先にパリがある。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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