1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. 野球

夢は公務員だった159km右腕「本当にやりたいことがなくて…」 ドラ1候補・中村優斗が覚醒した“隔離部屋”

THE ANSWER / 2024年7月5日 7時13分

中村(左)には大学代表の堀井監督(中)も大きな期待をかけている【写真:羽鳥慶太】

■大学侍入りを果たした愛工大・中村、農業高校に進んだワケは…

 野球の侍ジャパン大学代表は欧州に渡り、6日からチェコで行われる「プラハ・ベースボールウィーク」を戦う。ここで守護神として期待されるのが、最速159キロ右腕の中村優斗投手(愛工大4年)だ。ただ高校時代は「プロ野球なんて全く考えていなかった」といい、学んだのも公務員試験で抜群の合格率を誇る農業高校。ドラフト1位でのプロ入りを視界にとらえるまでには、意外な“きっかけ”があった。

「本当にやりたいことがなくて……。野球に限らず、欲がなかったんです」

 なぜ諫早農高(長崎)に進んだのか中村に聞くと、困ったような顔をする。実家が農業を営んでいるわけではない。「親に進路の相談をしたら、公務員を目指せばということになったんです」。同高の農業土木科に進んだのは、全国的に見ても抜群の公務員試験合格率を誇るからだ。実際に同級生は県の内外で公務員となり、活躍中だという。

「野球は高3までやって、長崎県の公務員になれればいいなと思っていました」という中村に転機が訪れるのは2年の時だ。2019年夏の長崎県大会、3回戦で私立の瓊浦高を完封したのが愛工大の平井光親監督(元ロッテ)に伝わり、「うちで野球をやらないか」と誘われたのだ。

「当時の最速が141キロだったんですが、長崎にそれくらい投げる投手がいなかったのもあると思います」。人からの評価は人生を変える。自分にもそういう道があるのだと気づかされた瞬間だった。


中村の豪快な投球フォーム。コロナ禍の隔離された環境で生み出された【写真:羽鳥慶太】

■コロナ禍とともに始まった大学生活…“隔離部屋”で球速アップ

 誘い通り愛工大に進んだ。ただ1年生だった2021年はまだまだ新型コロナ禍の真っ最中。公式戦は行われていたものの、合宿所では選手同士の接触も禁じられる状況だった。通常は2人部屋のところが1人部屋となり、全体練習もなし。思い描いていた大学生活とは全く違った。

 それが飛躍のきっかけとなるのだからわからない。「僕らは“隔離部屋”と呼んでいたのですが、とにかく自分の部屋でひたすら筋トレや柔軟の繰り返しです」。禁が解けた秋、直球の最速は最速151キロまで伸びていた。もしコロナがなかったら…「今ごろ、ここ(大学代表)にはいなかったかもしれませんね」というのは心からの思いだろう。

 中村は今年3月、欧州代表と戦う侍ジャパンのフル代表に初選出され、1回無失点と好投。京セラドームで時速157キロを叩き出し注目された。7月2日には、大学ジャパンを激励に訪れた井端弘和監督と再会し「ずっとスピードが出ていてすごいねと言われました。(今秋行われる)プレミア12の代表に入りたいという話をしました」。欲がなかった中学生を変えた野球。今は最速160キロの看板とドラフト1位でのプロ入りという夢に向かって、ひたむきに努力を続けている。(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください