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ハンドボール日本代表の「バルサ化」急ピッチで進展 戦術ノートは真っ黒、選手「まるで進学校」

THE ANSWER / 2024年7月4日 18時19分

カルロス・オルテガ監督【写真:編集部】

■パリ五輪壮行試合第2戦、日本は31-25でフォロー諸島に快勝

 ハンドボール日本代表の「バルサ化」が急ピッチで進んでいる。日本代表のパリ五輪壮行試合第2戦が3日、東京・代々木第一体育館で行われ、第1戦を落とした日本が31-25とフォロー諸島に快勝。バルセロナを率いて欧州CLを制したカルロス・オルテガ監督のもと、世界の戦術が少しずつ形になってきた。

 今年4月に7年ぶりの日本代表復帰が決まったオルテガ監督が代表チームに本格合流したのは、欧州CL優勝から1週間後の先月17日。選手たちへの最初の言葉が「なぜ、ノートを持ってこない」だった。オルテガ監督時代を経験している渡部仁主将は「僕は分かっていたから持参したけど、みんな慌てて買っていました」と笑った。

 前任のダグル・シグルドソン監督は大枠を決めて基本を徹底、細かな部分は選手たちの自主性に任せた。しかし、オルテガ監督は正反対。足の位置や体の向きまで細かく指示し、何度も繰り返す。練習前30分と練習後90分はミーティングという名の「座学」。選手たちのノートはすぐに真っ黒になり、それをコートで実践する。

「7年前はA4のノートで2冊。今回も2冊用意したけれど、すでに半分使っています」と渡部。選手たちは前回以上の質と量に苦しむ。「予習と復習も必要。勉強漬けで、まるで進学校です」と笑った。基本となる7人対7人の場合はもちろん、退場によって人数が変わった時の好守など、細かな設定での戦術も頭に入れなければならない。

 最先端の戦術は、チームを成長させる。当初は戸惑っていた選手たちも徐々に慣れてきた。フランスリーグでプレーし、来季は強豪ナントに移籍する吉田守一は本場での経験もあるだけに「世界で戦うのに、細かな戦術は絶対に必要。勉強になるし、すごくいいです」と歓迎した。

 ミーティングの時に使用されるビデオに登場するのは欧州一のバルセロナの選手たち。世界屈指の選手たちの動きに「さすがに、レベルが違い過ぎる」と吉田は話したが、オルテガ監督が求めるのはバルセロナと同様の戦術。バルセロナ流、スペイン流のハンドボールだ。

 1日の試合でフェロー諸島に敗れたのは、相手の7人攻撃に対応できなかったのが大きかった。まだ「履修前」だったのだ。中1日で相手の攻撃にチャージするタイミングなどを修正。守備陣は連携を深め、GK中村匠の好守もあって、失点を抑えた。

 攻撃面で「バルサ化」のカギを握るのは司令塔の安平光佑。1日の試合は右足首の負傷もあって限定出場だったが、この日はスタメンで登場。両チーム最多の8点を奪うなど「ファンタジスタ」らしく多彩なプレーで観客を魅了した。「彼が入って攻撃はよくなった。スペイン人監督のもとでもプレーしているし、素晴らしい選手」とオルテガ監督は絶賛した。

 もちろん、世界のトップ選手が集まるバルセロナとは個々のレベルは違う。同じプレーができるわけでもない。それでも、オルテガ監督は24歳の安平と、第1戦で安平の代わりに司令塔を務めたチーム最年少22歳の藤坂尚輝を高く評価。2人を同時起用する「W司令塔」の大胆采配もみせ「スピードと1対1の強さがある2人が機能すれば、強力なオプションになる」と、世界を驚かせる準備をしていることを明かした。

 五輪本番まで1か月半という短期でチームの指揮をとるオルテガ監督。あまりに時間は少ないが、濃密な練習でチームは急成長している。世界選手権出場経験もないフォロー諸島に1勝1敗は決してほめられた成績ではないが「本番まで、もっとチームはよくなると思う。ファンの方々にも、安心してパリに送り出してほしい」と渡部主将は言った。

 サッカ ーの「ティキタカ」のもとともいわれるバルセロナ流パス・ハンドボールの中心で安平が輝き、吉田を軸に高度な組織的守備で相手の攻めを封じる。そんな日本代表「彗星ジャパン」が本番まで3週間強で完成すれば、欧州トップレベルの5か国と対戦するパリ五輪1次リーグで世界を驚かせることも決して夢ではない。(荻島弘一)(THE ANSWER編集部)

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