女子バスケ日本が長所を失っても強い理由 五輪でも必要な「走り勝つシューター軍団」の真骨頂
THE ANSWER / 2024年7月6日 20時33分
■三井不動産カップ(東京大会)
世界ランク9位のバスケットボール女子日本代表は6日、東京・有明アリーナで同26位ニュージーランドとの国際強化試合に92-50で勝利した。パリ五輪前の国内最終戦で武器の3ポイントシュート(3P)が成功率26.7%と不発に。それでも大勝したのは「日本の強み」を忘れなかったからだった。五輪本番でも必要なもう一つの武器を再確認し、欧州遠征を経て五輪に向かう。
苦しい。だからこそ、足を動かした。主将の林咲希が嫌われ続けた3P。ようやく決まったのは第3クォーター残り6分55秒、8本目の試投だった。得意の長距離砲で成功は11本中1本のみ。「すみませんでした!」。場内インタビューで頭を下げた。チームも成功率26.7%(45本中12本)。異例の謝罪で笑いに包まれたが、チームテーマ「走り勝つシューター軍団」は影を潜めた。
チームで45.5%を成功させ、125-57で圧勝した4日の初戦とは正反対。しかし、もう一つの強みが見えた。全員が走るのをやめない。特に林は体を張った。「泥臭いのが私にとって一番のプレー」。自陣でボールを追ってコートを這い、直後にオフェンスリバウンドへ。「3Pが入らない時間帯は苦しかったが、打ち続けなきゃいけない」。背中で牽引し、交代後のベンチでは声を張り上げた。
下を向かない主将に周りがついていく。特に高田真希は4本中3本の3Pに成功。相手のチャージを受けながらバスケットカウントも奪い、チーム最多23得点で勢いを生んだ。全員が走り、打ち、先手を取っても継続できるのが日本の長所。さらに恩塚亨監督は「献身性と賢さ。かつ最後までやり切るメンタリティー」を付け加えた。これこそ走り勝つシューター軍団の真骨頂だ。
林は猛省した中でも「攻撃がうまくいかなかった時、やらなきゃいけないことをみんなが理解しながらやれていた」と及第点を与えた。五輪本番も苦しい時間帯は必ずある。格下相手に消化不良だったが、武器を忘れなければ戦えると再確認できたのは収穫だ。「全員でレベルアップして、金メダルを獲って帰ってきます!」。この日もらった1万745人の声援が足を動かす力になる。(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku)
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