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県立の雄、相模原が再び知った夏の怖さ 横浜撃破を知るOBコーチ、涙のナインに引き継ぐ魂「だから残っている」

THE ANSWER / 2024年7月11日 6時33分

平日にもかかわらず相模原の応援席は満員。選手とともに、かつて横浜を倒したチームは伝説だ【写真:山野邊佳穂】

■第106回全国高校野球・神奈川大会

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は10日、横須賀スタジアムなどで2回戦を行い、相模原は横浜立野に延長10回タイブレークの末に6-7で敗れ、初戦で姿を消した。同校は2019年夏にノーシードから勝ち上がり、準々決勝で横浜を倒すという大番狂わせを演じている。当時1年生でベンチ入りしていた白井助(たすく)さんは、法大進学後も外部コーチとして後輩を指導。悔しさで泣き崩れたナインに伝えたい思いがある。

 早すぎる幕引きだった。初戦からスタンドを埋め尽くした応援団。試合は相模原が終盤追い上げを許し、5-5でタイブレーク制の延長戦にもつれ込んだ。10回、先攻の相模原は1死二、三塁から「4番・一塁」の崎山能活(1年)の投前内野安打で1点をもぎ取るも、その裏1死二、三塁から犠飛で同点とされ、さらに「5番・二塁」の河村四季(3年)に左前適時打を許してサヨナラ負けした。

 相模原ナインはグラウンドに崩れ落ち、ベンチ裏でも涙が止まらなかった。スタンドで熱戦を見守った白井さんも「細かいミスで負けてしまった。初戦の難しさは改めて感じた」と悔しさを隠さない。

 同校には、語り継がれる夏がある。2019年にノーシードから勝ち上がり、準々決勝では及川雅貴(現阪神)擁する横浜に8-6で逆転勝利。強豪私学がズラリと並ぶ神奈川で、公立高の意地を見せつけた。当時1年生だった白井さんは、背番号「20」を背負ってベンチ入りし、旋風の一員となった。一方、主将を務めた3年夏は1回戦で城山に3-10でコールド負け。新型コロナ禍を挟んで、天国と地獄のような2つの県大会を経験した。


横浜を倒した2019年夏は1年生でベンチ入りしていた白井さん。スタンドからナインの戦いを見つめた【撮影:山野邊佳穂】

■最後の夏、同じ初戦敗退だから分かること「社会のレギュラーに」

 だから「やり残した感があった」。部活引退後、佐相眞澄監督に打診され、引き受けたのが後輩たちを指導するコーチ役。法大に進んだ現在も、自身は準硬式野球部でプレーしながら、週に2、3回ほど指導している。夏の喜びよりも、怖さを知っているからこそ、「1つのプレーで勝ち負けが決まる。想定外を想定内にすること」と後輩たちには伝えてきた。ノック時の小さなミスを口酸っぱく指摘し、やり切るまで終わらせなかった。

 県内有数の進学校・相模原の野球部に入ってくるのは、横浜撃破の夏をはじめとして、私学と互角以上に戦う姿に憧れた球児ばかり。三好悠介主将(3年)もその一人で、敗戦後は「夏の大会は流れが大事と言われてきた。全員で意識していたけど、最後の最後に隙が出てしまった。早すぎる。もうちょっとやりたかった」と言葉を詰まらせた。

 彼ら3年生は、白井さんにとってコーチ就任後に初めて入学してきた代。思い入れは強く「最初はボール回しもままならなかった。ここまでこられたのは後輩たちの努力」と、見違えるようにシートノックをこなすナインを優しいまなざしで見つめる。ただ彼らが味わったのは、自身と同じ初戦敗退。同じ悔しさを知っているからこそ、伝えたいことがある。

「最後の夏にやり切れなかったから、コーチとしてここに残っている。佐相先生がよく『社会のレギュラーになれ』とおっしゃっている。レギュラーも控えも関係ない。悔しさをエネルギーに変えてほしい」。誰にも愛称の“県相”と呼ばれる相模原。悔しさしかないこの夏も財産にして、それぞれが前へ進んでいく。(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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