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「倍返しするんだ」 偏差値73の湘南が1年間唱えた“打倒・横浜” リベンジならずも敵将から賛辞「すごく苦しい試合」

THE ANSWER / 2024年7月14日 6時33分

8回、ファインプレーの後に敬礼のようなガッツポーズを見せる湘南の政近岳【写真:山野邊佳穂】

■第106回全国高校野球選手権・神奈川大会

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は13日、サーティーフォー保土ヶ谷などで3回戦を行い、県下屈指の進学校、湘南が0-4で横浜に敗れ姿を消した。両校は昨夏も5回戦で対戦し、横浜が7回コールドで圧勝。湘南にとっては1年越しのリベンジをかけた試合だった。「打倒・横浜」の思いを1年間抱えてきたチームをまとめ上げたのが、背番号「10」の政近岳主将(3年)だ。この試合、途中出場ながら外野でのスーパーキャッチでスタンドを沸かせたものの、試合後は敗戦に涙。ただ敵将からは「すごく苦しい試合だった」と最大級の賛辞が贈られた。

 春夏合わせ甲子園出場36回、優勝5回を誇る名門・横浜を相手に、堂々の戦いぶりだった。0-4で迎えた8回1死無走者、横浜の「5番・三塁」に座る為永皓(2年)の鋭い打球が左中間を襲う。7回から「8番・左翼」に入っていた政近は猛ダッシュでこれを追うと、最後は横っ飛びで好捕した。まるで敬礼のようなガッツポーズを見せ、駆け付けた湘南の応援団を沸かせた。

 ただ9回、湘南の反撃はならず三者凡退で試合終了、0-4で敗れた。試合後の政近は涙をこらえながら「終わったんだな……。負けたんだな……。自分たちの力を出し切ったけど負けは負け。悔しいです」と無念の言葉をつむぐ。絶好の舞台を得たのに、勝利にたどりつけなかった。主将とナインの、1年間抱えてきた思いがあふれた。

 湘南にとっては、願ってもない再戦の機会だった。1年前の夏は、0-7の7回コールド負けを喫した。現在の3年生18人は、試合が行われたバッティングパレス相石スタジアムひらつかで敗戦直後にミーティング。新チームのスローガンを「1つ1つ積み重ねて高水準の野球を」という意味を込めた「ONE MORE」に設定し、1年間「打倒・横浜」を掲げて取り組んできた。


盛り上がる湘南ベンチ【写真:山野邊佳穂】

■昨夏の大敗から1年…粘り強い戦いには横浜監督も脱帽

 だからこの夏、政近が抽選会で引いたくじは願ってもないものだった。「対戦できることになって燃えていた」と、気合十分で照準を合わせてきた。

 雪辱を果たすことはできなかったが、先発の寺村聡一郎投手(3年)は、5回までソロ本塁打の1失点に抑えた。さらにスローガンの意味にある「積み重ね」を体現するかのように、湘南ナインは堅い守備でアウトを重ねた。

 1回1死一塁では横浜のスーパー1年生、「3番・右翼」の小野舜友を遊ゴロ併殺に封じた。3回1死二塁では「1番・中堅」の阿部葉太(2年)の右直で飛び出した一走の峯大翔(3年)を好判断で刺した。横浜の村田浩明監督に「すごく苦しい試合だった」と言わしめるほどの戦いを見せた。

 湘南が誇る伝統は、横浜以上ともいえる。創部4年目の1949年、夏の甲子園で神奈川県勢として初優勝した歴史があり、偏差値73と県内屈指の進学校。部員は学校以外にも予備校に通いながら、放課後と朝の練習をこなしてきた。

 政近がナインの思いを代弁する。「結果が出ない時も下を向かずに『倍返しするんだ』とやってきた」「ここは夢のような舞台。一瞬一瞬を忘れないように心がけていた」。勉強以上に全力で野球に向き合ってきた。大ファインプレー直後の笑顔が、試合後は涙に変わった。それでも「打倒・横浜」を掲げて駆け抜けた1年間は決して色あせない。(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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