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県立高に現れたプロ注目右腕を支えた相棒 青あざだらけの菅・小池神平が守り通した岩瀬将との約束

THE ANSWER / 2024年7月15日 6時33分

菅の小池神平(左)はプロ注エースの岩瀬将(右)とバッテリーを組んだ3年間に感謝した【写真:山野邊佳穂】

■第106回全国高校野球選手権・神奈川大会

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は14日、バッティングパレス相石スタジアムひらつかなどで3回戦を行い、プロ注目右腕・岩瀬将(3年)を擁する菅は2-11で向上に7回コールド負けを喫した。ただ今夏は3年ぶりに初戦を突破。岩瀬とバッテリーを組んできた小池神平主将(3年)は、2人が入学当初に交わした“約束”を明かし「プロになると信じている」と熱いエールを送った。

 劣勢の試合展開にも、菅ナインは最後までエンジン全開で駆け抜けた。ピンチを乗り切れば「っしゃー」の声が響いた。先発した岩瀬は序盤制球が定まらず、4回までに4失点。さらに6回、打者9人に6安打を浴びる猛攻で6失点し、無念のコールド負けとなった。7回、最後のバッターにもなった小池は試合を終えると「最後まで自分らしいプレーができた。まだみんなと野球やりたかったんですけどもうできなくて……。本当に楽しかったです」。言葉とは裏腹に、涙があふれた。

 相棒の進化を追いかけ、受け止めた最後の夏だった。最速143キロを誇る岩瀬が昨秋からこの春にかけて急成長。一躍プロ野球のスカウトからも注目の的となり、小池の立場も“プロ注”の相棒に変わった。そんな2人を結びつけ、ここまで導いてきたのが、バッテリーを組み始めた1年生の時に交わした約束だった。

 小池が振り返る。入学直後の5月のことだったという。「(岩瀬)将に『オレ130キロ投げられるよ』と言われて、絶対ウソだと思って……。『投げたらキャッチャーやってやる』って言い返したら、その日の球速測定で本当に投げちゃって」。小池は中学まで外野手。捕手に怖さもあったが、口にしたからにはやらないわけにはいかない。ここが自身の捕手としてのスタート地点になった。

 もちろん苦労はあった。腕、太もも、鎖骨など、防具がカバーできない部分は青あざだらけ。岩瀬が注目を浴びるようになってからは、周囲から「(活躍は)キャッチャーしだいだな」という言葉まで飛んでくる。悔しさもプレッシャーも受け止めて捕球練習に時間を割き、自分の技術を磨き続けた。この日、岩瀬は3つの暴投を記録。受け止めきれなかったことを「今日は最後の最後にパスボールしちゃった」と悔やむ一方で「本当にバッテリーを組めて良かった」と感謝の念があふれた。

 オフには2人だけでカラオケに行くほどの仲良し。入学当初は2人とも長かった髪の毛も、小池の自宅で一緒に丸刈りにした。小池は岩瀬のボールの魅力を「ストレートが一級品。言語化はできない」と表現し、「プロになると信じている」とエールを送った。

 小池自身は今後、大学で野球を続けるかは迷っているが、最終的には消防士になることを決めている。「かっこいいから。将来の夢なので突き通したい」とキッパリ。プロ注目右腕とバッテリーを組むという「全く予想していなかった」高校野球の経験を活かし、次の舞台でも輝きを放つ。(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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