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「これが私学か」圧倒された夏から1年 県立唯一の神奈川16強、市ケ尾ナインが負けても感じた“成長”

THE ANSWER / 2024年7月19日 6時33分

杉山主将(左から3人目)を中心にマウンドに集まる市ケ尾ナイン【写真:山野邊佳穂】

■第106回全国高校野球選手権・神奈川大会

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は18日、川崎市の等々力球場などで5回戦を行い、県立校で唯一16強まで勝ち進んでいた市ケ尾が日大藤沢に1-3で敗れ、姿を消した。同じ5回戦で、慶応に7回コールド敗戦を喫した昨年超えを目指した夏。目標は達成できなかったが、指揮官とナインが試合後に口にした言葉は昨夏とは正反対のものだった。

 粘り強く食らいつくも、あと一歩届かなかった。市ケ尾は0-3で迎えた7回、1死から「6番・二塁」の高清水晃太(3年)が右前打で口火を切り、3連打で初得点を奪った。さらに8回無死からは「1番・遊撃」の杉山英志朗主将(3年)が中前打で出塁したが、得点につなげられず。9回は三者凡退に終わり、スタンドの大声援を受けて戦った市ケ尾ナインの夏が終わった。

 昨夏は、全国制覇を果たした慶応に5回戦で1-8の7回コールド負け。菅澤悠監督は「やり切って、代が終わる寂しさがあった」と1年前を振り返る。それがこの日は「悔しさしかない。本当に勝負できるところまできていた」。試合後に芽生えた感情は全く違った。

 個性豊かな3年生が中心となった今年のチーム。杉山主将は「なかなかまとまり切らないチームだった」と振り返るが、様々な出来事を乗り越えて強くなってきた。

■「クリスマスイブを休みにしてほしい」という珍要求に…

 新チームは昨夏を超える「5回戦勝利」を目標に掲げ始動した。3泊4日で行った夏合宿では、菅澤監督からボールの手入れ不足を指摘され、初日からボールを使わせてもらえない波乱のスタートだった。秋の大会では横浜創学館に0-10で大敗し、実力不足を痛感した。

 一方で「クリスマスイブを休みにしてほしい」と菅澤監督に頼んだこともある。その代わりに始まったのが「タイヤサーキット」。タイヤ押し30メートルと、ジャンプ系の運動を30秒。2.5往復を1セットとし、課されたノルマをクリアした。チームで何かあるごとにミーティングを開いて話し合い、目標を再確認して突き進んできた。

 当たり前のことを当たり前にこなす大切さを知り、粘り強さを身につけて挑んだ最後の夏。初戦から平塚学園を6-3で下し、4回戦では第3シードの三浦学苑に7-4で逆転勝ち。私学への“おそれ”はもう、どこにもなかった。「自分たちには巻き返す力があるという自信があった。自分たちを信じていたから、落ち着いてプレーできた」と杉山は胸を張る。

 慶応に敗れた昨夏、杉山は「これが私学か」という感想を抱いたという。それから1年。心も体も、そしてチームも成長させ、私立相手に堂々たる戦いぶりだった。「今年は本気で戦えると実感できた。本気で『楽しかった』と思える高校野球でした」。強豪私学が覇を競う神奈川で、最後まで生き残った県立校。昨年とゴール地点は同じだったが、壁をひとつ突破したのは間違いない。この日見せた雄姿は、後輩たちへ受け継がれていく。(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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