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「怖かった…」東海大相模に抱かせた“恐怖心” 惜敗の向上、北野龍彦主将が感じた「野球の楽しさと怖さ」

THE ANSWER / 2024年7月24日 7時3分

涙で表情を歪ませながらスタンドに挨拶した向上の主将・北野龍彦(中央)【写真:中戸川知世】

■第106回全国高校野球選手権・神奈川大会

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は23日、横浜スタジアムで準決勝を行い、春夏通じて初の甲子園出場を目指す向上は東海大相模に4-6で敗れた。主将の北野龍彦外野手(3年)は1点を勝ち越した8回、なお満塁の好機で自身が凡退したのを「あそこで取り切れないところが弱さなのかな」と悔やんだが、一方では東海大相模に“恐怖”を抱かせるほどの戦いを見せた。

 春夏通じて5度の全国優勝を誇る東海大相模に、あと一歩及ばなかった。向上は8回に敵失もからんでついに1点を勝ち越し4-3とした。ただその裏、先頭から連続四球を与えるなどして1死満塁のピンチ。ここで「6番・遊撃」の才田和空(3年)に走者一掃の左越二塁打を浴び、4-6と劣勢に陥った。それでも向上ナインは最終回、ベンチ前に集合し、北野が「2年半やってきたことを、自分たちの野球を信じよう」と鼓舞したが、反撃できずに終わった。

 超激戦区の神奈川で、初の甲子園出場にあと2勝まで迫った。相手のミスを誘い、一時は逆転するも勝ち切ることができなかった。笑顔でナインを鼓舞し続けた北野だったが、試合後はほおを大粒の涙が流れ落ちた。「7番・左翼」で先発した自身も勝ち越した8回、なお1死満塁の好機で遊ゴロに倒れ「あそこで取り切れないところが、弱さなのかな」と悔しさをにじませた。

 一方で、向上打線の“怖さ”を口にしたのが、東海大相模の先発だった福田拓翔投手(2年)だ。「振りも強くて、甘いコースは外野に飛ばされてしまって怖かった」。向上は5回1死満塁から「2番・二塁」の本宮翔人(3年)が右中間へ走者一掃の三塁打を放ち、3-2と逆転。6回から東海大相模のマウンドに、プロ野球のスカウトも注目する身長198センチの長身左腕・藤田琉生投手(3年)を引っ張り出した。名門をじわじわ追い詰めた。

 試合後、向上のベンチ裏は涙を流す選手であふれ、嗚咽を漏らす選手もいた。それだけ本気で駆け抜けた夏だった。平田隆康監督も「非常に良い3年生で、もっと一緒に野球をやりたかった……」と誇る代。寮や室内練習場がなくても甲子園に行けると証明したいという一念で勝ち続けた。そんなチームをまとめてきたのが北野だ。

 試合後は落ち着いた様子で取材を受けていたエースの百瀬匠投手(3年)も、話が主将に及ぶと涙を見せた。「北野がいないとこのチームはない。北野がいての向上の野球部だったので、一緒にやってこられて幸せだったなと思います」。北野は「野球の楽しさと怖さを知れたなと思う。悔しいけど後輩たちに甲子園にいってもらいたい」。悔しさは後輩たちへと受けつがれ、また一つ向上を強いチームにする。(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)

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