球場包んだ超異例の大合唱の“続き” 横浜に敗れた武相が受け継ぐスポーツマンシップ「素晴らしいアイデアを…」
THE ANSWER / 2024年7月24日 8時50分
■第106回全国高校野球選手権・神奈川大会
第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は23日、横浜スタジアムで準決勝を行い、武相は横浜に1-2でサヨナラ負けを喫し姿を消した。1968年以来56年ぶりの甲子園出場は叶わなかったが、14年ぶりの4強進出。この試合のスタンドで、武相の応援団は18日の5回戦で対戦した立花学園の思いを受け継ぎ、合唱曲「虹」を大熱唱した。両校の応援席が試合中に合唱するという超異例の光景には、続きがあった。
敗れたチームの思いを乗せて、横浜スタジアムでも歌声を響かせた。試合が5回を終えると、熱中症対策のために設けられた10分間のクーリングタイムがある。内野に陣取った武相の応援団が肩を組み、左右に揺れながら「虹」を歌い出した。野球部員で応援団長を務めた沼崎吾朗(3年)は「スタジアムは歌っていて気持ち良かった」と白い歯をのぞかせた。
対戦校から受け継いだ行動だった。この大会、立花学園の応援団が「5回まではノーサイド、両校を応援する」という思いとともに、クーリングタイムになると相手校の応援団に「虹」を合唱しましょうと呼びかけ続けた。なかなかうまくいかず、ようやく相手校を巻き込むことができたのが、18日の5回戦。応えたのは武相だった。
対戦相手を敬うスポーツマンシップを体現した球児たち。その行動には“続き”まであった。
武相の応援団は、続く横浜隼人との準々決勝からこの「虹」を歌い始めた。「メンバーも『やってくれ』という感じだった」と沼崎。さらに「立花学園さんが素晴らしいアイデアをくれた。『その思いも乗せて、自分たちは戦わなきゃな』と思って」。グラウンドに立つメンバーだけでなく、スタンドも敗れていったチームの思いを背負って戦っていた。
武相は1-2で横浜にサヨナラ負け。56年ぶりの甲子園出場を目指した夏が終わった。高校球児がつないだ思いと、受け継いだスポーツマンシップは夏の記憶に刻まれた。(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)
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