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長い長い2秒間のお辞儀 決勝打許した横浜の1年生、行動ににじみ出た先輩との絆「言葉にできないものが…」

THE ANSWER / 2024年7月25日 7時3分

降板後、遊撃の守備位置で腰を直角に折ったまま2秒間静止する横浜の池田聖摩【写真:中戸川知世】

■THE ANSWER編集部カメラマン「夏の高校野球神奈川大会フォトコラム」

 第106回全国高校野球選手権の神奈川大会は24日、決勝で東海大相模が横浜を下し幕を閉じた。「THE ANSWER」では、168チームが参加したこの大会にカメラマンが密着し、フォトコラムを連日掲載。最終回で取り上げるのは、神奈川を代表する2校の激突で心揺さぶられたシーンだ。8回、横浜の4番手で登板したのは、背番号「6」を背負う池田聖摩(1年)。決勝打を打たれた後にグラウンドで見せた2秒間のお辞儀から、痛いほど悔しさが伝わってきた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

 頭を下げ、腰を直角に折ったまま2秒間静止した。同点の8回、1死二、三塁から4番手で登板した池田は、東海大相模の三浦誠登外野手(2年)に同点打、中村龍之介外野手(2年)に左中間への決勝二塁打を許すと、降板を告げられ本職の遊撃へ戻った。夏の夕日が射す守備位置につくと、腰を折ってお辞儀。目を開いたまま、帽子とグラブを持った自身の腿あたりを真っすぐ見ている。後ろには影が伸び、長い長い2秒間だった。

 5番手の若杉一惺(1年)にマウンドを譲り、もう一度遊撃に戻る姿が気になったところで発見したシーンだった。白線をまたぎ、フィールドへ入る際に一礼する選手は多いが、これは行動から“重さ”が伝わってきた。悔しいという文字が見えるかのような場面。気持ちが痛いほど伝わり、シャッターを切った。

 いったい、何を考えての行動だったのだろう。

 試合に敗れた悔しさが充満する横浜のベンチ裏で、池田の姿をみつけた。「良くしてくださった3年生の最後の夏、自分の投じた球で甲子園の舞台をなくしてしまったことが悔しい。言葉にできないものがあります」と肩を落とし、さすがに言葉にも力がなかった。

「打たれてしまったのは過去のこと、引きずってはいけないと思っていたので、心を落ち着かせたかった」。遊撃に戻っての長い一礼は、何とか切り替えようとする思いから。腿に手を当て一息ついたが、心のシフトは簡単ではなかった。

「逆転されたままだったので、切り替えはできませんでした。でも先輩たちが遠くから合図してくれたり、声をかけてくれて守りきれました」。仲間からの支えが、最後までフィールドに立ち続ける原動力になったという。

 池田は今大会、ショートリリーフとして準決勝までの6試合中3試合に登板。1回2/3を投げ失点どころか、被安打もなかった。最後の夏となる3年生も、信頼して送り出したはずだ。名門・横浜の遊撃を守り、決勝では一打逆転という重圧のかかる場面で投げた1年生。夏はあと2回ある。今後の成長を見守りたくなるようなシーンだった。(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)

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