敗れた男子バレー高橋藍に気になる動き 狂った日本の歯車「数字には表れないものの…」【加藤陽一の目】
THE ANSWER / 2024年7月28日 6時13分
■「シン・オリンピックのミカタ」#9 男子バレーボール解説・加藤陽一
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
大会期間中、各競技のスペシャリストによる試合解説を随時展開する。今回は男子バレーボール。27日に1次リーグC組初戦が行われ、世界ランク2位の日本が同11位のドイツに2-3(17-25、25-23、25-20、28-30、12-15)で逆転負け。初戦を落とした。52年ぶりのメダル獲得を目指す“史上最強”の日本がよもやの黒星発進に。この試合を元日本代表主将・加藤陽一氏が分析。気になった選手に高橋藍を挙げた。「数字には表れない」という中に状態面の不安を指摘した。(構成=荻島 弘一)
◇ ◇ ◇
勝てなかったことは残念でしたが、ドイツもとてもいいチームでした。どちらに転んでもおかしくない試合でしたし、競り合った第4セットを落としたことが、第5セットに響きました。ただ、リーグ戦は決勝トーナメントに上がることが最優先なので、1ポイント得られたことは大事。それをポジティブに考えたいと思います。
ドイツはもともと組織的で忠実なバレーボールをする印象。攻撃的で個の力があるポーランド人のヴィニャルスキ監督に率いられて、さらに強さを増していました。この試合に照準を合わせ、競った場面では巧みにチャレンジを使って試合の流れをつかむ。日本代表のブラン監督とのレベルの高い駆け引きも見事。指導者(中国の天津女子バレーボールクラブジュニアチームのアドバイザリーコーチ)として見ていて大変におもしろく、勉強になる試合でした。
試合で気になったのは、高橋藍選手です。ケガの影響もあるのでしょう。調子が戻り切っていない感じです。得点こそ石川選手(22点)、西田選手(20点)に次ぐ15得点でしたが、数字には表れないものの守備の面で今ひとつでした。
もともと、レシーブが素晴らしい選手です。ただ、この試合ではドイツの攻撃的なサーブに対応しきれていなかった。いつものようにピタリとセッターに返らなかったことで、日本の攻撃が苦しくなった。それが、初戦黒星の一因にもなったと思います。
■勝負を分けたのはセッターへの返球
その高橋選手に加えて、キャプテンの石川選手、オポジットの西田選手らにスポットが当たりますが、今の強さの源はセッター関田選手にあると思っています。高い技術で黙々と若いアタック陣を操る。自らは裏方に徹し、若い攻撃陣のために動く。72年ミュンヘン大会で金メダルを獲得した時の猫田さんにイメージが被るんです。
ただ、そのセッターが最大限に技術を発揮できるのも、レシーブがいいから。関田選手なら多少レシーブが乱れても技術でカバーできるのですが、どうしても攻撃の選択肢は限られてしまう。苦しい体勢でサイドに上げたトスを狙われ、ドイツにブロックを許す。そんな展開が増えたのも、高橋選手が本調子でなかったからです。
逆に、ドイツはセッターへいいボールが返っていたため、センターを効果的に使うことができた。その差が、勝敗を分けました。
ただ、まだ1試合なので、悲観する必要もありません。メダルを狙う日本にとって、リーグ戦はまだ準備段階。勝ち負けよりも、決勝トーナメントに向けて大会に慣れ、経験を積み、コンディションを上げていくことが大切です。
大きな舞台ですから、12人全員で戦う必要があります。高橋選手の調子が上がることはもちろんですが、大塚選手や甲斐選手が大会を通して成長することも期待しています。
試合後、石川選手がコート上ですぐに選手を集め、ミーティングをしていました。この試合から課題を得て、次戦以降に修正していくことが大事だし、そうチームを持っていけるのは、キャプテンの石川選手しかいません。
東京大会と違って、スタンドには多くの観客がいます。日本だけでなく、世界的にも人気の高いのが今の日本代表です。次戦以降、大声援に力をもらう日本に期待したいです。(THE ANSWER編集部)
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