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五輪の男子サッカーが「23歳以下」なのはなぜ? 意外と知らない導入までのFIFAとIOCの駆け引き

THE ANSWER / 2024年7月28日 6時33分

パリ五輪に出場しているサッカー日本代表【写真:ロイター】

■「シン・オリンピックのミカタ」#11 連載「オリンピック・トリビア」第6回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第5回は「どうして男子のサッカーは23歳以下の制限があるの?」。

 ◇ ◇ ◇

Q.どうして男子のサッカーは23歳以下の制限があるの?

A.FIFAがW杯の価値を守りたかったから。

【解説】

 IOCは、オリンピックを「世界最高の選手の大会」としています。陸上や競泳はもちろん、バレーボールも、バスケットボールも、オリンピックが「世界最高峰」ですが、サッカーは別。サッカーにはW杯があり、FIFAが「W杯こそが世界最高の大会」としているからです。

 オリンピックのサッカーは1900年第2回パリ大会から行われています。04年創設のFIFAも、当初はこれを「世界最高の大会」と認めていました。ところが、アマチュア主義を守るオリンピックがサッカーで主流となっていたプロの参加を禁じていたことから、両者の関係がこじれます。

 FIFAは30年、独自にプロの参加を認めた「真の世界一決定戦」としてW杯をスタート。その後、アマのオリンピックとプロのW杯は別の道を歩みます。戦後から70年代までの金メダルチームは、ハンガリーやソ連、ユーゴスラビア、ポーランド、東ドイツ、チェコスロバキアなど当時東側と言われた国の「ステートアマ」が占めていました。

 変わったのは80年代。プロの参加を容認したIOCは、FIFAにプロ参加を求めます。しかし、W杯を「世界最高の大会」とするFIFAは拒否。オリンピックがプロの大会になると、W杯の価値が下がるからです。それでもプロ参加を求めるIOCに対し、FIFAは80年モスクワ大会から「W杯予選、本大会に出場した欧州と南米の選手以外」をオリンピックの出場資格とし、さらに92年バルセロナ大会からは「23歳以下」というルールを設定したのです。

 もっとも、観客数や視聴率のためにスター選手を大会の目玉にしたいIOCはあくまでも年齢制限の撤廃を要求。FIFA側はこれを受けて「年齢制限なし(オーバーエイジ)の3選手を加えることを決めたのです。

 ちなみに、オーバーエイジは3人以内ですから、この枠を使わなくてもOK。パリ大会の日本代表は24歳以上の選手を加えず、23歳以下だけでのチームで大会に臨んでいます。(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一
1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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