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八村塁の1on1能力に頼った日本の連係欠如 警戒必至の残り2戦「鍵を握るのは…」2人の選手【渡邉拓馬の目】

THE ANSWER / 2024年7月28日 6時43分

ドイツ戦に出場した八村塁【写真:FIBA提供】

■「シン・オリンピックのミカタ」#11 男子バスケットボール解説・渡邉拓馬

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 大会期間中、各競技のスペシャリストによる試合解説を随時展開する。今回は男子バスケットボール。1次リーグB組の初戦が行われ、世界ランク26位の日本が同3位で昨夏のワールドカップ(W杯)王者ドイツに77-97で敗れた。八村塁、渡邊雄太ら歴代最強メンバーを擁しながら、完敗に終わった日本。この試合を元日本代表・渡邉拓馬氏が分析する。敗因はどこにあったのか。そして、1次リーグの残り2試合に向けた課題と、鍵を握る2人の選手とは――。(構成=藤井 雅彦)

 ◇ ◇ ◇

 五輪初戦の77-97という結果を必要以上に悲観してはいけません。約1年前のW杯でも初戦でドイツと対戦し、当時は63-81で敗れました。点差はほとんど変わっていませんが、戦いぶりには日本の成長がしっかりと見えました。

 東京五輪やW杯を経験したことで、選手たちが国際舞台に慣れてきたのはとても大きい。世界ランキング3位でW杯優勝国のドイツと対峙しても、最初から最後まで堂々と戦っていた。佇まいに風格やプライドを感じましたし、落ち着いてプレーできていたように感じます。メンタル面が原因の立ち合い負けをしなくなったのは、戦う意味でものすごく重要です。

 そういった雰囲気は相手にも伝わっていたのでしょう。ドイツの戦い方は日本を格下と見ている様子ではなかったですし、メダルを狙うチームとして結果と内容をしっかりと追い求めてきた。格上に対してワンサイドゲームを強いられることなく、最後まで粘り強く渡り合えたのはポジティブな材料です。

 ただしレベル差があったのも事実。サイズとフィジカル、そして3Pシュートの精度の差が最終スコアにつながりました。日本チームの選手たちは見ている側では分からないプレッシャーを感じていたはず。普段なら攻め切れている速攻を攻め切れない場面や、通るはずのパスにもディフェンスの手が伸びてきた。

 オフェンスに目を移しても、ドイツは誰がコートに立っても得点力を落とさない選手層があって、特にオープンな状態を作ってからの3Pシュートの精度はものすごく高かった。日本が狙っていた展開を作られてしまい、なおかつしっかりと決めてくる。さすが強豪チームというプレーでした。

 そんなメダル候補のチームと1on1で互角以上に戦えていたのが八村塁選手です。20得点10リバウンドのスタッツが示すように、個で対等に渡り合えるあたりはNBAプレーヤーの凄み。彼がボールを持つと相手選手を引きつけることができて、味方に時間とスペースを提供できる。いるか、いないかで日本はまったく違うチームになる存在感は稀有でしょう。八村選手、渡邊雄太選手、ジョシュ・ホーキンソン選手が揃ってコートに立っている時間は、サイズの面でもひけを取りませんでした。


次戦以降、鍵を握るドイツ戦でプレータイムの少なかった2人とは【写真:FIBA提供】

■鍵を握るのはドイツ戦でプレータイムの少なかった2人

 一方で、日本らしい連係ができていたかといえば、理想には少し届かなかった印象もあります。八村選手の1on1能力に頼ってしまって他の4人が立ってしまう場面も散見されました。それでもチャンスクリエイトできるのは彼の価値ですが、コンビネーションプレーは攻守ともにさらに磨いていけるはず。次戦以降、チーム全体でアジャストしていける部分だと思います。

 これから対戦するフランスとブラジルは間違いなく八村選手を警戒してくるでしょう。渡邊選手やホーキンソン選手にも簡単には仕事をさせまいと臨んでくるはず。鋭いドライブから彼らにパスを出せる河村勇輝選手へのマークも厳しくなる展開が想定されます。

 だからこそドイツ戦でプレータイムの少なかった富永啓生選手や比江島慎選手の活躍が鍵を握るのではないでしょうか。彼らのアウトサイドシュートが決まらないと、勝ち切る試合を作るのは難しい。ドイツ選手では吉井裕鷹選手が貴重な3Pシュートを沈めて成長を感じさせただけに、富永選手と比江島選手にも期待したい。ドイツ戦での悔しさを晴らすようなインパクトを出してもらいたい選手たちです。

 ドイツは強かったですが、まったく歯が立たなかったわけでもない。だから精神的に引きずるような敗戦ではありませんし、W杯では大会期間中にチームとして大きく成長しました。このパリ五輪でも八村選手との融合など進化する余地を残しています。フランスとブラジルも世界ランキングでは日本よりも上ですが、何かを起こせそうな雰囲気は十分にある。

 五輪に参加するだけで良しとするフェーズではなくなりました。W杯と同じように、歴史が動く瞬間を期待しているファンが大勢います。それに向かっていく歩みが次の世代にも受け継がれていく。日本のバスケットボール界にとって重要な残り2試合+αになるはずです。(THE ANSWER編集部)

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