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日本の盗撮防止ユニに海外注目 苦節20年、開発までの道のり「パフォーマンスと性的被害抑制の両立を」

THE ANSWER / 2024年7月28日 11時33分

バレーボール女子日本代表【写真:Getty Images】

■「シン・オリンピックのミカタ」#15 アスリートを守るミズノの盗撮防止ウェア

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 パリ五輪に向けて、海外からも注目を集めたのが、ミズノが開発しバレーボール女子や卓球女子など複数種目の日本代表に提供している“盗撮防止”ユニホームだ。アスリートに対する性的目的での盗撮が問題となって久しいが、これは生地が赤外線カメラに対する「防透け」機能を備えているのだという。20年を超える研究開発の末、この画期的な製品が生まれるまでを聞いた。(全3回の第1回)

◇ ◇ ◇

 近年、アスリートに対して向けられる性的目的での盗撮が深刻さを増している。ただ問題自体は、インターネットの普及前からあった。ミズノはこれをユニホームを提供する側から解決できないかと、20年以上研究を続けてきた。

 そして、解決の糸口は意外なところにあった。今回のユニホームは2019年ごろ、汗への対処機能を進化させる目的で開発を始めた。ユニホームを着て汗をかくと、どうしても通気性が悪くなり、選手のパフォーマンスに影響する。この問題を解消しようと、汗の処理にすぐれた素材で「どれだけ濡れてもすぐ乾く」ウェアの開発を目指していた。

 それが2020年ごろ、赤外線盗撮防止に応用できるのではないかという発見があった。赤外線の吸収に優れた、新開発の糸で編んだ生地を用いることで、人の体から出ている赤外線を抑え込める。赤外線カメラを使うと選手の体のラインや下着などが生地を透けて写っていたのを、防げると気づいたのだ。

 盗撮防止には、様々な方向からの対策が考えられるが、決定打がなかった。種目によっては競技会場での撮影制限を行っているケースもあるが、いたちごっこだ。ミズノもこの新素材「ドライエアロフローラピッド」が開発される前は、生地を厚くしたり、表面に金属粉を吹き付けたりするというアプローチでの対策を考えていた。

 ただその方向性だと、ユニホームは伸びづらく、汗も吸いにくくなるという“副作用”が避けられない。特に、五輪に出場するチームのウェアは動きやすさもトップクラスである必要があった。パフォーマンスに影響が出ては、競技団体も採用しづらくなる。スポーツウェアとして重要な機能性は、これまで赤外線盗撮防止とはなかなか相いれなかった。

 そのジレンマを解決するのがこの新素材だ。開発に関わったミズノの田島和弥さんは「パフォーマンスと性的被害をどう抑えるかを両立させるものづくりが課題でした。ミズノとしても解決したい問題。競技のレギュレーションなどもありますが、少しずつ増えていけば」と、今後はより広い種目への展開を目指している。(THE ANSWER編集部)

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