地元愛が生んだ“トリックCK”大成功 帝京長岡、インハイ初16強の裏にあった選手の自由な発想
THE ANSWER / 2024年7月29日 16時27分
■「長岡花火」と命名、相手を惑わす動きからダメ押し弾
全国高校総体(インターハイ)の男子サッカーは28日に2回戦を行い、帝京長岡(新潟)が4-0で龍谷(佐賀)を破り初の3回戦進出を決めた。
自慢の攻撃力で圧倒してみせた。球際でボール奪取を狙う相手の守備を、巧みな連係で翻弄。前半にFW安野匠(3年)が相手の背後への抜け出しから2得点。さらに右CKをファーサイドで待ち受けたDF下田蒼太朗(3年)が追加点を奪い、3-0と大きくリードした。後半は、守備を中心とした戦いになったが、跳ね返して無失点。後半28分に左CKを再びDF下田が得意のヘディングで叩き込み、ダメ押しの4点目を奪った。
4点目となるCKでは、キッカーのDF稲垣潤(2年)が右足で助走を取る前、ゴール前に不思議な光景が広がった。帝京長岡の選手は、1人を中心に置いて円陣を組むように丸くなった。円になった選手がぐるぐると回り、相手に思うようにマークをさせないようにして散らばるパターンなら、2022年度の全国高校サッカー選手権で話題となった、高川学園(山口)の「トルメンタ」(スペイン語で台風の意)だ。しかし、帝京長岡の選手は、回ることなく「イッチ、ニー。イッチ、ニー」と掛け声をかけながら、円になったまま数歩ゴール方向へ前進。何をやるのかと思ったところで、稲垣のキックと同時に広がるようにパッと散った。
そのうちの1人でゴールを決めた下田は「あれ、名前は『長岡花火』っていうんですけど。丸くなって一気に散るので。(6月末に行った)プレミアリーグのヴィッセル神戸戦で初めてやって、最近はやっていなかったんですけど、今日、やってみようって」と2度目の挑戦となったオリジナルのセットプレーで、初得点を奪ったことを明かした。
アイデアは、新しいセットプレーを考えていたミーティングで選手が発案。大きな花火のように一斉に広がる様子から「長岡花火」と名付けた。地元の一大イベントにかけたネーミングだ。新潟県長岡市で毎夏開催されている長岡まつりの大花火大会は、日本三大花火大会の一つとして知られている。信濃川の河川敷で、直径約650メートルの大輪を咲かせる「正三尺玉」や、打ち上げ幅が約2キロにも及ぶ「復興祈願花火フェニックス」が有名だ。下田もサッカー部の仲間と2年連続で観覧しており「今まで見たことないような、めっちゃデカい花火で感動しました」と、その迫力に魅了された1人だ。
■大量リードのなかで飛び交った「しっかり守れ!」の声
帝京長岡はインターハイでは初の16強進出だが、全国高校サッカー選手権ではベスト4を2度経験。今季から所属リーグもユース年代最高峰のプレミアリーグに属しており、目指しているのは初の日本一だ。下田とセンターバックでコンビを組む主将の山本圭晋(3年)は「チームの歴史を一つ前に進められたのは嬉しいことだけど、まだ2回戦を勝っただけというのが正直なところ。1試合1試合、大事に戦っていった先に優勝という目標が見えてくると思うので、次の試合に向けて良い準備をしたい」と大勝での勝ち上がりに浮かれることなく、大目標に向けて気持ちを引き締めていた。
帝京長岡は、個人技とパスワークを融合させた攻撃に特長があるチーム。1回戦では柳ヶ浦(大分)に5-0と快勝。2回戦も4-0と大量得点で勝ち上がっている。その中でも、2回戦の終盤には、山本が「しっかり守れ! 遊びじゃねえんだぞ!」と大量リードで気の緩んだ選手を叱咤するなど、守備面でも健闘。2試合連続の完封勝利を挙げている点も見逃せない。
2回戦を終えて、29日は休養日。30日の3回戦では東海大相模(神奈川、第2)と対戦する。2024長岡まつり花火大会は、8月2日、3日に実施予定。大会の準決勝、決勝と日程が重なっている。今年は花火観覧ではなく、隣県の福島県にあるJヴィレッジで、新潟県勢初の日本一という大きな花火を打ち上げるつもりだ。(平野 貴也 / Takaya Hirano)
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