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サーフィンで波がない時はどうするの? 五輪が重視するTV泣かせの競技、今大会はタヒチ開催のワケ

THE ANSWER / 2024年7月30日 14時33分

2021年の東京大会で五輪の仲間入りをしたサーフィン【写真:ロイター】

■「シン・オリンピックのミカタ」#30 連載「オリンピック・トリビア」第9回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第9回は「サーフィンで波がなかった時はどうするの?」。

 ◇ ◇ ◇

Q.サーフィンで波がなかった時はどうするの?

A.すべて波任せなのが、自然と共存するサーフィン。

【解説】

 2021年の東京大会でオリンピックの仲間入りしたのがサーフィンでした。実施が決まった当初から、運営側を悩ませていたのが日程の問題。波がなければ競技はできず、逆に悪天候の場合も中止になります。競技スケジュールがたてられないのが、自然を相手にするサーフィンの特徴なのです。

 2019年に宮崎でサーフィンのワールドゲームズ(世界選手権相当)が行われました。公式のスケジュールが「sunrise to sunset」。日の出から日の入りまでです。波のコンディションが悪いと「1時間延期」となり、それでもよくならなければ「もう1時間延期」。もっとも、運営サイドも選手たちも、それは日常のこと。試合時間は、あくまでも波任せ。予定がたてにくくて大変だと思うのですが、それがサーフィンの「カルチャー」なのです。

 東京大会でも当初の開催日は7月25日~28日でした。波がなくて延期した場合に備えて、8月1日まで予備日がとられていました。ところが、実際に競技があったのは25~27日の3日間。台風接近に備えて、準々決勝以降の2日間の日程を1日で消化したのです。

 オリンピックが重視するテレビ的には、いい競技ではありません。始まる時間も終わる時間も確定しない。これではテレビの放送枠をとるわけにもいきません。今大会は、波のコンディションが良いという理由でフランスではなくタヒチでの開催。次の28年ロサンゼルス大会から「正式競技」に格上げされるサーフィンですから、日程問題との戦いは今後も続きそうです。

 ちなみに、世界的には人工波での競技も行われており、日本でも静岡・牧之原市に本格的な人工波の「静波サーフスタジアム」が誕生しています。将来的には自然の影響が少ない人工波の「プール」でのオリンピック開催があるかもしれません。(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一
1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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