4試合で驚異の24得点0失点 海外クラブ注目のFW擁する神村学園、敵将も「差があった」と脱帽
THE ANSWER / 2024年8月1日 14時43分
■静岡学園に3-0快勝で4強、初のインターハイ制覇へ前進
神村学園のゴールラッシュが止まらない。福島県で開催されている全国高校総体(インターハイ)男子サッカーは7月31日に準々決勝を行い、神村学園(鹿児島)が3-0で静岡学園(静岡)を破って準決勝に進出した。1回戦から8-0、7-0、6-0で勝ち上がっており、準々決勝を含めた4試合で24得点無失点。驚異的なスコアで初優勝に向けて勢いを増している。
静岡学園戦は、互いに東西でユース最高峰となるプレミアリーグに属しているチーム同士の対戦。ハイレベルな相手になり、3回戦までの3試合のようにはいかないと思われたが、鋭い攻撃が鳴りを潜めることはなかった。
試合の立ち上がりは静岡学園がボールを保持して主導権を握ろうとしたが、神村学園は3トップに両ウイングバックが加わり、5人が並んで各々が相手の背後への飛び出しを狙う攻撃で圧力をかける。試合開始5分、右サイドを破って対角のパスを相手の背後に通すと、左FW名和田我空(3年)が抜け出す。対応しようとした静岡学園が下がると、今度はバックパスを受けた左ウイングバックの大成健人(3年)がカットインシュート。クロスバーに嫌われたが、相手に恐怖を与えた。
その勢いのまま、前半8分に左CKのこぼれ球をFW徳村楓大(2年)が左足ボレーでゴールに突き刺し先制した。さらにクーリングブレイク明けの前半29分には、今度は中盤でファウルを受けた場面からクイックリスタート。「ああいうところは、すごく狙っている。個人で自由にやっていい場面なので」と振り返った大成が、快足で相手を置き去りにして追加点を奪った。
後半に入ると、静岡学園が攻撃のギアを上げてきたが、同15分に低い位置でのFKからゴール前へボールを送ると、空中戦のこぼれ球をMF松下永遠(3年)が頭で押し込み、ダメ押しの3点目を奪った。
敗れた静岡学園の川口修監督が「相手の守備の強度や、攻撃の速さに差があった。前半は、リアクションの守備になってしまった。ちょっと怖がっている選手がいた」と認めたように、神村学園の攻撃には迫力があった。ボールと人を動かし、後方からボール付近に人数をかけていくのが伝統的な攻撃スタイルだが、有村圭一郎監督は「前に強い選手がいるので、シンプルに相手を(マークさせる強い意識を持たせて)ピン止めして、中盤は鈴木悠仁(3年)と松下永遠(3年)に運ばせる攻撃が今年は合っているのかなと思う。無理に後ろからつないでいくのではなく、強みを出させたほうが彼らの特長が生きる。今年は、そういうやり方を選択している」と前線の攻撃力を前面に押し出したスタイルに変えていることを明かした。
■通算8得点の名和田我空、大会記録の10ゴール超えなるか
3トップが常にゴールを狙っている怖さは、相手の守備ラインににらみを利かせ、攻撃参加を躊躇させる。攻撃で押し込めば、中盤の鈴木、松下の運動量で一気に圧力をかけ、ボールを失ってもすぐに奪い返して二次攻撃につなげる場面も多かった。
国内外のプロクラブが注目するFW名和田は、この試合こそ無得点だったが、8ゴールで得点ランキングを独走中。2000年に後の日本代表FW大久保嘉人(国見高校・長崎県)が10得点をマークしているが、新記録を作るチャンスを迎えている。主将でもある名和田は、自身が好機を決め切れなかった悔しさは出さず「ハーフウェーラインより前でプレーする時間が長かった。試合を通して、アグレッシブな(攻守の)切り替えができていた」とチームを評価。「満足している選手は1人もいない。自分たちの目標は優勝。次につなげたい」とチームが掲げる初優勝の目標に目を向けた。
大会は、8月1日の休養日を挟み、2日に準決勝、3日に決勝を行う。神村学園は準決勝で米子北(鳥取)と対戦。勝てば帝京長岡(新潟)と昌平(埼玉)の勝者と決勝を戦うことになる。(平野 貴也 / Takaya Hirano)
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