よもやの完敗、女子バレー日本の誤算と「1」の重圧 陥った悪循環「古賀を使うしかない状況に」【江畑幸子の目】
THE ANSWER / 2024年8月2日 7時33分
■「シン・オリンピックのミカタ」#41 女子バレーボール解説・江畑幸子
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
大会期間中、各競技のスペシャリストによる試合解説を随時展開する。今回は女子バレーボール。1次リーグB組の第2戦が1日に行われ、世界ランク7位・日本は同2位ブラジルに0-3(20-25、17-25、18-25)で敗れた。これで初戦のポーランド戦に続いて連敗。この試合を元日本代表で2012年ロンドン五輪銅メダルメンバー・江畑幸子氏が分析する。完敗の理由に立ち上がりの誤算を指摘。1次リーグ突破へ、負けてもポイント「1」が必要だった重圧も挙げた。(取材・構成=荻島 弘一)
◇ ◇ ◇
悔しいですね。初戦が終わってブラジル戦まで、準備を尽くしてきたと思います。ただ、それが十分に生かされなかった。確かに、ブラジルは強かったと思います。そんな強いブラジルも、日本を徹底的に研究してきた。結果は残念ですが、試合としては見ごたえのあるものだったと思います。
大事な試合の入り方がよくなかったのには、理由があります。日本はこれまで多くの得点を許していた相手のエース、ガビ選手を徹底的にマークしていたはずです。ところが、相手がスタートで多用したのはクリスティーナ選手。日本を研究して、あえてエースを使わなかった。これまでのブラジルとは違う戦い方に、日本は混乱しました。
ガビ選手は強打のエースですが、一人で打ちまくるため終盤に疲労からキレを欠くことがありました。ところが、この日はクリスティーナ選手の活躍で負担が軽減。最後までフレッシュな状態で攻撃に加わり、効果的にスパイクを決めていました。最終的にはクリスティーナ選手の15点を上回る17点。相手は、エースの使い方が見事でした。
痛かったのは、やはりポーランドに敗れた初戦でポイントを挙げられなかったことです。この大会では12チームが3組に分かれ、各組2位までと成績のいい3位2チームが準々決勝に進みます。他の組で接戦の試合が多いため、成績上位の3位になるためには多くのポイントが必要になりそう。ブラジル戦は、たとえ負けてもフルセットでポイント1を獲得することが重要でした。これが、重圧になりました。
■ブラジルの積極的サーブで古賀にトス集中、リードされて日本のサーブが消極的になる悪循環
試合前、選手たちの表情は硬かったですね。いつもとは違う。バレーボールを楽しめている感じもしませんでした。精神的に追い込まれて臨んだブラジル戦。さらに、常に先行されて気持ちに余裕もなくなりました。これでは、試合を楽しむことなど難しいですね。
リードした相手は攻撃的なサーブを思い切り打ってきました。セッターに正確なボールを返すことが難しくなり、結果としてエースの古賀選手にトスを集中させるしかない状況になりました。逆に、リードを許すと「これ以上離されてはいけない」とサーブが消極的になり、相手に自由な攻撃を許してしまいます。
もちろん、良かった点もあります。3セット目の出だしは古賀選手の巧みなスパイクが効いて互角に戦えました。2セット目の井上選手のバックアタックも素晴らしかった。個々に好プレーはありましたが、それが続かない。最後まで、日本のリズムにはなりませんでした。
ブラジルがマッチポイントでタイムアウトをとりました。まだ点差もあったし、珍しいことですが、それだけ日本は認められているということです。「最後まであきらめない」日本の怖さを知るからこそ、6点の差があっても「確実に1点とる」ことを伝えたのです。
2連敗で、1次リーグの残りはケニア戦だけ。決勝トーナメント進出は厳しい状況ですが、最後まであきらめずに戦ってほしい。そして、楽しんでほしい。日本の女子バレーボールの魅力を、たくさん伝えてほしいと思います。(THE ANSWER編集部)
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