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なんで抗議するのにお金がかかる? AS日本8.5万円支払いで注目、直渡しで“審判買収”と勘違いされた競技も…

THE ANSWER / 2024年8月6日 16時10分

アーティスティックスイミング日本代表【写真:ロイター】

■「シン・オリンピックのミカタ」#67 連載「オリンピック・トリビア」第17回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第17回は「どうして、抗議するのにお金がいるの?」

 ◇ ◇ ◇

Q.どうして、抗議するのにお金がいるの?

A.無料にすると、抗議が殺到するから。

【解説】

 アーティスティックスイミング(AS)が、初日から大荒れになりました。ルール変更で採点が細かくなって初めてのオリンピック。事前に提出した技ができたかの判定が重要なのですが、その判断が不安定(に見える)。日本とアメリカの抗議はどちらも認められ、大幅に順位が入れ替わるという、迷走するAS界らしいゴタゴタでした。

 抗議の時に500万スイスフラン(約8万4500円)を支払った点が注目されますが、これはいわゆる「預り金」。抗議が認められなければワールドアクアティクス没(旧国際水連)が没収しますが、認められれば返却されます。「預り金」が必要になるのは不要な抗議の乱発を防ぐため。フリーに受け付けて殺到すれば、競技運営の妨げになるからです。

 12年のロンドン大会では、体操団体総合決勝のあん馬で内村航平選手の採点を巡り、日本のコーチ陣の審判団「買収」が話題になりました。ポケットから100ドル札を取り出して渡す映像が拡散したからです。採点は見直されて得点は上方修正。無事に銀メダルに輝きました。

 当時審判副委員長として採点の見直しを要求された体操界のレジェンド、加藤沢男さんは後に「あの映像だけ見たら、買収だと思うかも」と笑いながら「国際体操連盟のルールで明確に決まっていること。もちろん、現金は返却されています」と話していました。さすがに今は現金の受け渡しはなくなり、事後に国際体操連盟から各国協会に請求が来るようになったそうです(抗議が認められれば請求なし)。

 ちなみに、ASで事前申告された演技の全要素に、1つずつ判定を下しているのはテクニカルコントローラーという審判。これまでと大きく違う採点方法に審判も不慣れで、昨年の世界選手権では採点に長時間かかっていました。今回は時間の制約も厳しいはず。ASは始まったばかりなので、まだまだ採点見直しはあるかもしれません。(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一
1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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