五輪を観て「あんな風に大きな体になりたい」 子どもに必要な栄養の目安と“あと2つ”の大切な要素
THE ANSWER / 2024年8月11日 7時33分
■「シン・オリンピックのミカタ」#92 「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
世界のトップアスリートがしのぎを削るオリンピック。テレビを観て「いつか、自分もあんな選手になりたい」と思う子どもたち、それを後押ししたいと願う保護者も大勢いる。プロ野球・阪神タイガースなどで栄養サポートを行い、「THE ANSWER」で保護者向け連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」を手掛ける公認スポーツ栄養士・吉谷佳代氏が、今回はオリンピック版としてジュニア世代の栄養の基本を紹介する。(前後編の前編、取材・構成=長島 恭子)
◇ ◇ ◇
Q.何を食べたら、オリンピック選手のように強くなれるのか、大きくなれるのか。
A.オリンピック選手やプロ選手を目指す子どもたちの栄養講習会で、「1cmでも大きくなりたい人はどのぐらいいるかな?」と質問すると、全員の手が挙がります。彼らのご家族からも「子どもの体が大きくなるために、タンパク質とカルシウムをしっかり摂る方法を教えてほしい」という質問をよく受けます。
確かにタンパク質やカルシウムも重要ですが、成長期の子どもたちに最も大切なのは、運動量に見合ったエネルギー量を摂ることです。
子どもたちも食べられる量に限りがあります。成長期にエネルギーが不足しては、せっかくの背が伸びるチャンスを生かしきれません。それに、筋肉作りには糖質(炭水化物)も必要です。タンパク質だけをとっていては、筋肉作りもうまく進まず、もったいないですよ。
エネルギー源となる炭水化物の豊富な食品といえば、献立でいうとご飯や麺類、パンなどの「主食」。なかでもイチオシはお米です。
うどんは水分が多く、パンは重量が少ないため、とてもたくさんの量を食べないと1日の必要量を摂りきれません。その点、重さの1/3を炭水化物が占めているお米は、効率よくエネルギーを摂ることが出来るのです。
1日に必要な炭水化物の量は、子どもの運動量や体重、成長期のどの段階にいるかなどによって異なります。また、中学生、特に男の子の場合は個人差も大きい。ここでは、目安量でお話ししますので、参考にしてください。
■体を大きくするのに必要なのは「運動」「栄養」「休息」の三要素
例えば毎日、部活動をしている体重50kgの中学生男子の場合、1日の目標とする摂取カロリーの目安は3000~3500kcalになります。そのうち、摂りたい炭水化物量は450g~550g程度。お米に換算すると、4~5合です。
ただし、炭水化物は果物やイモ類、調味料、スポーツドリンク、補食、いろんなものに少しずつ含まれます。ですから、1日3~4合のお米を食べることを目標にするといいでしょう。
ちなみに、皆さんが気になっているタンパク質の1日の必要量ですが、激しい運動やトレーニングをしている中学・高校生で体重kg×1.6~2g程度が目安。軽度な運動時や成長期を迎えていないジュニアアスリートの場合、体重kg×1.2~1.5g程度で大丈夫です。
最後に、体を大きくするには、「運動」「栄養」「休息」の三要素が大事です。
身長は小学校の高学年から中学校の年代に最も伸びますが、身長を伸ばすスイッチを入れる役割を担うのが「成長ホルモン」。成長ホルモンがしっかり分泌され、しっかり働くと、体は大きくなります。
その成長ホルモンの分泌と働きを高めるポイントが、「食事」と「休息(睡眠)」。食事をしっかり食べるだけでなく、日ごろから夜更かしをせず、十分な睡眠がとれるように促すことも大切ですよ。
トップレベルの選手たちも1gでも筋肉をつけたい、と目標を持って、トレーニングに励み、食事も意識して摂っています。目標に向かって頑張る子どもたちを、是非、食事の面からも応援してあげましょう。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)
長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。
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