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なんで五輪のマラソンはいつも大会最終日? 今大会は初の「男子→女子」の順番にも理由あり

THE ANSWER / 2024年8月11日 12時33分

マラソンが大会最終日に行われる理由とは【写真:ロイター】

■「シン・オリンピックのミカタ」#97 連載「オリンピック・トリビア」第20回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 今回は連載「オリンピック・トリビア」。いろんなスポーツが行われる五輪を見ていると、それぞれの競技のルールやしきたりなど「よくよく考えると、これってなんで?」と不思議に思うことがないだろうか。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和とスポーツを40年追い続けたスペシャリスト・荻島弘一氏が、そんな今さら聞けない素朴なギモンに回答。オリンピック観戦を楽しむトリビアを提供する。第20回は「どうして、いつもマラソンは大会最終日にやるの?」。

 ◇ ◇ ◇

Q.どうして、いつもマラソンは大会最終日にやるの?

A.地元ギリシャのルイスが優勝したから。

【解説】

「素晴らしい! 感動した!」。オリンピックの創始者、クーベルタン男爵が叫んだと伝わるのが、1896年第1回アテネ大会のマラソンです。マラトンの古戦場からアテネのパナシナイコ・スタジアムまでの約40キロ。ギリシャのスピリドン・ルイスがトップで競技場に入ると、スタンドは総立ち。興奮したギリシャ皇太子らがゴールまで並走するお祭り騒ぎになりました。

 ギリシャは最終種目のマラソンが行われるまで陸上競技の優勝は0だっただけに、沿道の国民も盛り上がりました。応援が無名ランナーの背中を押し、感動的なレースになったのです。ルイスの活躍でマラソンが盛り上がることが分かり、その後は陸上競技の最終種目に定着しました。

 大会の前半に行われていた陸上競技が72年ミュンヘン大会から大会後半に移行すると、そのまま大会の最終種目になりました。96年アトランタ大会では閉会式で表彰式を実施。それ以降は閉会式の「一部」になりました。

 開催都市にとっても、最後にマラソンを行うのは意味があります。都市のイメージアップや観光客誘致を目指すのに、マラソンは最適です。観光名所を巡るコースに都市の魅力を詰め込み、2時間に渡ってPR。東京大会は猛暑のために札幌での実施になりましたが、本来は東京タワーにスカイツリー、浅草や銀座など新旧の「ビューポイント」を世界に発信する予定でした。

 感動的なレースとともに、開催都市が魅力を発信するオリンピックならではの「華」だからこそ、大会を締めくくるのにふさわしいのです。今大会ではパリ市庁舎をスタートし、オペラ座、ルーブル美術館、コンコルド広場、ヴェルサイユ宮殿、エッフェル塔を経てナポレオンが眠るアンバリッドまで。レース後、世界中に「パリに行きたい」と思う人が増えるはずです。

 ちなみに、今大会では最終種目に女子のレースが行われます。男子は10日で、女子は11日。男女平等を推し進めるIOCと大会組織委員会の施策で、もちろん、84年ロサンゼルス大会で女子が採用されてから初となります。(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

荻島 弘一
1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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