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「メダルでも2週間で忘れられる」 賞味期限に危機感…五輪レスリング選手が2時間超のファン対応

THE ANSWER / 2024年8月25日 18時55分

握手会&撮影会に参加したパリ五輪金メダルの樋口黎、清岡幸大郎、桜井つぐみ、元木咲良、日下尚と銀メダルの高谷大地(左から)【写真:荻島弘一】

■レスリング五輪メダリストが握手&撮影イベント

 レスリング競技の未来のために、パリ五輪のメダリストが動いた。男子フリースタイル57キロ級金メダルの樋口黎(28=ミキハウス)、同グレコローマンスタイル74キロ級銀メダルの高谷大地(29=自衛隊)ら6人が25日、全日本学生選手権が行われている東京・駒沢屋内球技場での「握手&撮影イベント」に参加。270組約500人のファンと触れ合い、競技をPRした。

 過去最多の金メダル8個、13人出場でメダル11個とパリ五輪で空前のメダルラッシュを演じた選手たちが、ファンと記念撮影をし、握手にも応じた。2時間以上も立ちっぱなしでファンとの交流に努めた選手たちは「レスリングを知ってもらういいきっかけ。やってよかった」と話した。

 選手たちが自分たちで動いて実現させたイベントだった。高谷は「メダルをとっても賞味期限は短く、2、3週間で忘れられる。選手たちで話し合い、環境を変えるために一歩踏み出そうということになった」と説明。選手の思いを周囲がサポートし、異例の「選手主体」で行われた。

 樋口と高谷を中心にパリ五輪代表メンバーに声をかけ、この日は金メダルの清岡幸大郎(23)、日下尚(23=ともに三恵海運)、桜井つぐみ(22)、元木咲良(22=ともに育英大助手)も参加。選手たちはSNSを積極的に利用してイベントの告知もした。

 5つの金と1つの銀メダルがそろい、選手たちは改めて五輪の力を実感。元木は「誰も来ないかと心配してけれど、大勢来てくれてうれしい」。桜井は「すごい反応。地元の高知でもやっていきたい」と話した。清岡は「多くの人が来てくれて。すごく元気をもらった」と笑顔。日下は「アクションを起こせば、反応はある。マイナースポーツを変えるには、アクションを起こさないと」と盛況だったイベントを振り返った。

 4年に1度五輪では金メダルを含む多くのメダルを取り続けているレスリングだが、それが普及につながっていないのは事実。吉田沙保里、伊調馨というスーパースターが抜けた後、選手たちは競技の将来へ危機感を募らせている。高谷は「声を上げないと、なかなか認知もしてもらえない。やろうという子どもも減る。SNSなどを使って、今何ができるかを考えていかないと」と競技人口減少への不安も口にした。

■「本当は協会主体でやってほしい」

 少子化の影響もあるが、レスリングの競技人口減少も危機的だ。高体連の登録者数は2003年の2789人から23年の1955人と20年間で3割以上減少。より減少率が大きい競技もあるが、レスリングはもともと登録者数が少ないだけに、競技者減少の影響は大きい。選手たちも、そこに危機感を感じている。

「日本の金メダル(20個)の半数近くがレスリング。これを使わない手はない」と樋口はイベント成功に動いたが、今回は選手主体で日本協会の関与はなし。「本当は協会主体でやってほしい。選手は100%練習に打ち込んでいる。瀬戸際で戦っているので、協会が動いてくれないのは残念に思う」と本音も口にした。

 52年ヘルシンキ大会から五輪のメダルを取り続けるなど、競技成績では他競技を圧倒する日本レスリング協会だが、普及や広報に関しては遅れが目立ちがち。今回もレスリングの普及に最高のタイミングだが、広報活動に積極的かと言われれば疑問がある。もちろん、協会幹部も何もしないわけではないのだろうが、アイデアに乏しくできないのが現状だ。

 日下は「(日本協会の富山英明)会長に話をしたら、どんどん意見を出してほしいと言われた。選手たちから意見を出して、日本のレスリング界を変えていきたい」と競技の明るい未来を夢見て話していた。(荻島弘一)

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