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技巧派レフティーから大変貌 昨季0得点→11ゴール、FW三島拓人の意識を変えたコンバート

THE ANSWER / 2024年9月10日 16時3分

プリンスリーグ中国でゴール量産中の立正大淞南FW三島拓人【写真:平野貴也】

■立正大淞南のエース、レノファ山口U-18戦では終盤の2得点で逆転勝利に貢献

 中国地方で大暴れしているストライカーがいる。島根県の強豪校・立正大淞南高校のFW三島拓人(3年)だ。U-18世代の9地域リーグの1つであるプリンスリーグ中国で、ゴールを量産。9月7日のレノファ山口U-18戦では、1-1で迎えた終盤に勝ち越しゴールを決めた後、後半アディショナルタイムに追いつかれたが、直後に味方のクロスに飛び込んで相手に倒されPKを獲得。自ら決勝点を決めると同時に試合が終了。ラストプレーでチームを3-2の勝利に導いた。

 試合終盤は、選手交代により中盤でプレーする機会が多くなっていたが、味方のプレーを見て瞬時に「一か八かで信じて走った」という判断が物を言った。

 前日の授業で聞いた言葉が頭に残っていた。2021年の東京五輪で銀メダルを獲得し、今夏のパリ五輪にも出場したバスケットボール女子日本代表の主将・高田真希さんが講演。三島は「高田さんは、4クォーターで相手の動きが落ちるから、そこで勝負と話していました。最後の最後まで諦めなかったら結果はついてくるという言葉が響きました。今日は前半でチャンスを決められなくて、点を取れないのかなと感じたけど、最後まで行こうと思って、本当に最後の最後で点が取れた。一流選手の言うことは間違っていないと思いました」と早速生きた助言に感謝した。

 レノファ山口U-18戦で2点を追加し、通算11ゴールで得点ランク首位に立つ。昨季、無得点だった選手とは思えない変貌ぶりだ。

 ポジション変更による意識の変化で大化けした。三島は、ボールと体の扱いに優れる左利き。昨季までは中盤でプレーしており、「チャンスを作るパスが、自分の武器だと思っていた」と話す。しかし、選択肢とイメージを多く持てるがゆえに決断を迷い、味方とタイミングが合わない場面が少なくなく、最前線にコンバートされた。

 すると、ゴールを求める気持ちが高まり、少しずつプレーが変わった。最初は、相手を背負って縦パスを受け、味方にボールを預けてからパスを受け直していた。しかし、それではシュートチャンスが増えない。次は、味方のパスを前方にターンしながら受けてゴールを狙いやすくした。そして、今は「もっとゴールに近いところでボールをもらわないといけない」と、相手の背後でパスを受ける動きに磨きをかけている。

■自らの課題も認識「謙虚にやれば考え方も変わる」

 ただ、得点に責任を感じるからこそ生まれる難しさもある。夏のインターハイは、1回戦の帝京大可児(岐阜)戦で1-6の大敗。開始1分で失点し、動揺から良いプレーを出せなかった。三島は「自分では普段どおりと思っていても、仲間からは、自分がやろうという気持ちだけが先走っていると言われました」と振り返る。

 味方にパスを出してボールを奪われれば、ドリブルを仕掛ければ良かったという気持ちになるものだ。逆に、ドリブルでボールを取られることもあるが、自分のプレーだから納得はしやすい。少しでも自分が点を決めなければと思うと、知らずに気持ちのバランスが傾き、球離れが悪くなる。

「自分でやろうとするから、課題になっている決断のスピードが遅くなり、もっと難しい状況にしてしまう。技術面ではないので、変わろうと思えば変われるはず。(高校で最後の大舞台となる)高校選手権とかになれば、もっと自分がやらなければという気持ちになるはず。同じではいけない。(他人の助言を)聞く耳をしっかり持って(課題を)受け入れて、謙虚にやれば考え方も変わって、FWとしてもっと上手くゲームを進められるはず」

 ドリブルかパスか、自分か味方か。追い込まれた時に、しっかりと決断できるか。三島は自信や覚悟を持つことと、仲間との強力な信頼関係を築くことの両立に取り組み始めている。

 大学に進学予定だが、将来の目標はプロ。プリンスリーグ中国で得点王に輝き、選手権で夏の雪辱を果たし、夢に向かって扉を開けていけるか。新境地を開拓しているストライカーは、技術や体力だけでなく、心と頭まで鍛え上げようと努力を続けている。(平野 貴也 / Takaya Hirano)

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