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首の骨折→半身麻痺で車椅子生活に…励みは大谷翔平、敵地にいた米大学生の眼差し「彼は人の鑑」

THE ANSWER / 2024年9月15日 4時43分

家族とドジャース戦を観戦したエイデン・ペインさん(中央)【写真:浜田洋平】

■ドジャース戦前にグラウンドにいた米大学生を直撃

 憧れの存在を目にする特別な日になった。米大リーグ・ドジャースは13日(日本時間14日)、敵地でブレーブスと対戦。試合前にグラウンドに設置されたファンエリアには車椅子の青年がいた。6月に首の大怪我で胸から下が麻痺状態に。背番号17のユニホーム姿で選手たちを見守る様子は、スーパースターの存在がいかに大きいのかを表していた。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 試合前、ベンチに引き揚げる選手たちが立ち止まる場所があった。本塁後方のネット際に設けられたエリア。ファンがグラウンドに降り、サインをもらえる場所だ。その三塁側のドジャースベンチ横。数十人のファンの群れの最前列に車椅子の男性がいた。ユニホームは大谷翔平投手の17番だ。

「ショウヘイはドジャースの中で一番好きな選手の一人なんだ。とても良い選手だし、雰囲気も良い人みたいで好きだね」

 そう語るのは、隣りのアラバマ州から来た20歳のエイデン・ペインさん。自身も3歳で野球を始め、17年間プレーしていた。しかし、今年6月にプールで友だちと遊んでいた時、飛び込みで椎骨を骨折。「胸から下が麻痺状態になってしまった」

 米アラバマ州地元放送局「WBMA」によると、ベンビル州立コミュニティカレッジで好成績を残したペインさんは来季テキサスA&M大テクサーカナ校と契約していたという。怪我の直後に契約は停止。リハビリ生活を余儀なくされた。

■心の支えは野球「ショウヘイのスイングが好きだし、本当に良い選手だね」

 心の支えになったのが野球。試合中継やYouTubeを見漁った。「もちろん、彼を見ていたよ」。画面に映る大谷はいつだって全力だ。「人の鑑のような存在だね。彼のスイングが好きだし、本当に良い選手だなって」。グラウンドを見つめながら語る様子は明るい。

 初めてトゥルイスト・パークを訪れたこの日、ファンエリアでデーブ・ロバーツ監督に声を掛けられた。サインボールをもらい、記念撮影のサプライズまで。

「僕が怪我をした時、彼(ロバーツ監督)がビデオメッセージを送ってくれたんだ。『気持ちを強く持つように』って伝えてくれた。ロサンゼルスにも招待してくれたんだよ」

 指揮官はムーキー・ベッツを連れて来てくれた。同じようにサインボールを受け取り、2018年ア・リーグMVPから一言。「落ち込まずに顔を上げるようにね」。家族と訪れたペインさん。祖母は感激し、涙を拭っているようだった。

 今回、記者の取材を快く受け入れてくれた。受け答えをする様子を母親が微笑みながらスマホでパシャリ。笑顔で野球を見られる今、ここまでの歩みがどのようなものだったのか想像できた。

 残念ながら大谷とはタイミングが合わず、交流できなかったペインさん。「ロサンゼルスにも行って試合を見る予定だよ」。20日(日本時間21日)から本拠地で6試合。大谷の50本塁打、50盗塁に巡り合うかもしれない。

○…この日の大谷は「1番・DH」で先発出場した。3回の第2打席に弾丸ライナーを右翼ポール際に運んだが、惜しくもファウル。空振り三振に終わり、4打数無安打2三振だった。47本塁打、48盗塁のままともに足踏みし、チームは2-6で敗戦。先発右腕ナックが2回5失点で試合をつくれず、打線も5安打に留まった。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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