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メジャー制覇直前「電話で話している方がいたので…」 女子ゴルフ竹田麗央、21歳にして光る精神力

THE ANSWER / 2024年9月30日 10時12分

日本女子オープンで優勝した竹田麗央【写真:Getty Images】

■日本女子オープン最終日

 女子ゴルフの国内メジャー大会、日本女子オープン最終日が29日に茨城・大利根CC西C(6845ヤード、パー72)で開催された。首位で出た竹田麗央(ヤマエグループHD)が3バーディー、1ボギーの70で回り、通算10アンダーで優勝。岩井明愛(Honda)や山下美夢有(加賀電子)を振り切って、今季7勝目を飾った。

 総合力で激戦を制した。最終18番パー4。短いウイニングパットを決めると、竹田は右手でキャップのつばを握った。そして、拍手と声援を送るギャラリーに会釈。メジャー2冠、日本タイトル2連勝でも、これまでの6勝と同じ光景だった。今季7度目の優勝記者会見で「ガッツポーズは出ませんか」と問われると、竹田は肩をすくめながら言った。

「次、やります(笑)」

 いつも通り。それはプレー面でも同じだった。メジャー設定でも豪快に飛ばし、高い弾道でピンを狙う。この日は同組の山下が放った第1打よりも、50ヤード以上の前にドライバーショットを運び、400ヤード以上のホールでも第2打でショート、もしくはミドルアイアンを握っていた。

 山下を引き離したが、前の組で回っている岩井には1打差に迫られた。その流れで、竹田の第1打が不安定になった。

「明愛さんが迫ってきたので、『ボギーは叩けない』という意識でやっていました」

 竹田は追い込まれつつ、パワーとテクニックを披露し続けた。12番パー3では、第1打をグリーン右のラフに外した。ピンまでバンカー越え30ヤードの第2打。これをロブショットで2メートルに寄せ、パーを拾った。

「この時はライも良くて、自信を持って打ちました。パットは下りのスライスでしたけど、ラインは読めていました」

 その後もショットがラフにつかまったが、アプローチをことごとく2メートル以内に寄せた。

「(ラフが)逆目の時もありましたが、フェースを開いて大きく思い切って振るようしたらうまくいきました」

 多くのプロが苦しんだ状況も攻略。ソニー日本女子プロ選手権に続き、国内メジャー2冠で5年シードを獲得(同一年でのメジャー2勝)。1988年のツアー施行後では、2019年の畑岡奈紗に続き2人目(施行前に7度の樋口久子を含めると3人目)の同一年での日本タイトル連勝となった。2021年に稲見萌寧が記録した同一年7勝の最年少記録(22歳45日)も21歳180日に塗り替える快挙だ。

■「電話をしている方がいたので…」 初出場で予選落ちした5年前から見せた成長

 5年前の2019年。アマチュアで初出場した日本女子オープンはコースに打ちのめされ、予選落ちしていた。

「女子オープンのコースはこんなに長くて、ラフも深いのかと思ました」

 そこから本格的に体幹トレーニングを始め、母でプロゴルファーの哲子さんからの指導を受けつつ、技のバリエーションも増やした。そして、21年大会は7位でローアマを獲得。同年11月、ローアマの資格で出場した最終プロテストで一発合格を果たし、3年後の今大会で頂点に立った。

「歴代優勝者の方がすごい人ばかりで、来年のチャンピオンズディナーに自分も参加できるのかと思うと緊張しますが、すごくうれしいです」

 パワーと技だけでなく、メンタルの成長も見せつけた。18番パー4のティーグラウンドでショットの仕切り直しをした場面だ。

「電話をしている方がいたので、仕切り直しをしました。12番で携帯電話の音が気になったまま打ってミスをしたので、18番では打つのを止めました」

 そして、再びアドレスに入って放った第1打は狙い通り、フェアウェーを捉えた。

 充実した心技体。勝つべくして勝った感もある21歳は前夜、大好きな巨人のセ・リーグ優勝をテレビで見届けていた。

「1回裏からずっと見ていました。阿部監督が泣いていらして、泣いている選手もいたのでもらい泣きしそうになりました。いいものを見せてもらいましたし、『自分も頑張ろう』と思えました」

 くしくもこの日に着用したウェアはジャイアンツカラーのオレンジ色。そこを問われると、苦笑いで「いや、特に理由はないんです。マンシングの方から新作を着てほしいと言われたので」と返して会見場を和ませた。コースでは圧倒的な強さを見せながら、話すと緩い感じを醸し出す姿は竹田自身が慕う小祝さくらを思わせる。

 竹田は会見で来季米ツアー最終予選会を受験する可能性を示しつつ、シーズン最終戦・JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップまで全9試合に出場すること明言した。既に7勝。あと3勝で熊本の先輩・不動裕理が樹立した年間最多10勝に並ぶことになる。

 歴史を塗り替えていく姿は、ドジャースの大谷翔平にも通じるが、会見では大谷にも言及し、「アメリカであれだけ活躍されて、見ている人を楽しませているので憧れています。私もあのように頑張りたいと思います」と目を輝かせた。その視線は既に世界へ向いている。(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)

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