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ドラフト指名目指す30歳、2軍球団で気づいた投球の“真髄” 年齢と引き換えにつかんだ武器「失敗した数が…」

THE ANSWER / 2024年10月19日 6時43分

元NPB選手を除けば、平間はチーム最年長の30歳【写真:羽鳥慶太】

■メキシコでも投げた平間凜太郎、くふうハヤテでフル回転

 今季からプロ野球の2軍ウエスタン・リーグに新たに参戦したくふうハヤテに、世界を股にかけて進化を続ける30歳右腕がいる。平間凜太郎投手は日本の独立リーグから2度のメキシコ挑戦を経て2軍球団へ。シーズン序盤はリリーフ、後半戦は先発としてフル回転した。2度の指名漏れや海外でのプレーを経て、30歳の今もNPB入りを目指し続ける。今も自身に感じる“可能性”を語ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)

「僕の最大の武器は、失敗した数が人と全然違うことなんです」

 NPB12球団のスカウトにどこを見てほしいか。平間に問うとこんな答えが返ってきた。その野球人生は波乱万丈だ。社会人野球の日本製鉄東海REXを退部して、四国アイランドリーグの高知へ。150キロ超のストレートを武器に最多セーブのタイトルを獲得し、2020年、21年とNPB球団から調査書も届いた。

 しかしドラフト会議では名前を呼ばれず、視線は海外へ。2022年には夏のメキシカンリーグで、名門メキシコシティ・レッドデビルズに加入し1勝。昨冬は同球団のウインターリーグでも投げ防御率1.69と好投した。そして今季、NPB2軍に参入したくふうハヤテ入り。ついにNPBの打者と日常的に対戦する環境に身を置いている。そこで感じたものとは――。

「やっぱり、アウトを簡単に取れないんですよ。バットに当てるのが本当にうまくて……。これは日本野球の特徴だと思います。僕は三振を取る投手だと思っていたんですが、本質は違うのではと気付かされました。実は自分は、ゴロでアウトを取る投手なのではないかと」。その境地に達するまでの過程もまた、失敗の連続だった。

 平間の武器は、縦に鋭く曲がり落ちる「ナイアガラカーブ」だ。NPB投手の平均が2500回転といわれるところ、軽く3000回転を超える異質なボールで、これまで戦ってきたリーグでは三振の山を築いてきた。9イニングあたりの奪三振は10個を下らなかった。

 ところが今季は、それが4.24個にとどまる。「カーブを狙ってくる打者にはバットに当てさせて、ゴロを打たせています。日本の打者は、難しい球をファウルにする技術が一番高い。だったら1個分甘くして、まともに振らせずに打たせる。これが本当の自分の武器なんだと分かりました」。得点を防ぐには走者を出さないことに加え、長打を打たれないこと。そのための方法を、考え抜いた上での作戦だった。


メキシコでプレーした当時、WBC代表のアロザレーナと腕組みポーズ【写真:本人提供】

■球速を捨てても速球派でいられる…データに出ない唯一の要素とは

 今季途中、そのカーブの軌道が変わり、打者にとらえられるようになってしまった時期があった。「腕が横振りになっているよ」という中村勝投手コーチの指摘で、原点に戻ることができたという。原因は、知らず知らずのうちに球速を出そうとしていたからだ。

 カーブにしっかり働いてもらうためには、かつて追い求めた球速を捨てなければならない。そんな“究極の選択”にも、葛藤はなかったという。「自分を受け入れて特徴を活かせば、真っ直ぐが140キロちょっとでも抑えられる。野球の面白さだと思いますし、何物にも変えがたい経験です」。

 現在、投球を数値化する試みは猛スピードで進化している。ボールの回転数や変化の方向などあらゆるものが可視化される中で、平間に言わせれば数値に出ていないものが一つだけあるという。

「球威です。球速とは全く違いますし、手元で“来ている”ボールにバッターが刺されるのは、球速に関係なく起きます。モーションも球威を感じさせる一因です。球速を捨てたら速球派じゃないのかと言えば、そうじゃない。上原浩治さんや山本昌さんを見ていればわかります。威力が伝わっていれば速球派だと思うんです」

 平間の今季成績は34試合に登板して2勝7敗2セーブ、防御率3.82。形のないところから2軍参入を果たしたチームで、先発も中継ぎも、抑えもこなした。序盤戦はリリーフで抜群の安定感を見せ、20試合に投げたところでの防御率は0.66。最終的な登板数はチーム3位で、不可欠な存在だったのがわかる。

「僕より将来的にすごい球を投げる投手は、ここの若手にもいっぱいいると思います。でも経験から得た安定感は、僕にしかありません。先発、中継ぎ、抑えの経験が全部あって、怪我を一度もしたことがありません。どんな時でも、パッと行けと言われれば投げられますし。そのための準備もできる。NPBの12球団には、困ったときの投手だと見て頂ければありがたいですね」

 レベルが上がれば上がるほど感じられる野球の奥深さ。突き付けられた課題を解決しながら、平間はあくまでもNPBを目指し続ける。(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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