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メジャー630発男も認めた逆輸入スラッガー ドラフト待つ根岸辰昇、慶応高→米大学で得た「特異な経験」

THE ANSWER / 2024年10月21日 7時43分

根岸(左)はメジャー630発のグリフィーJr.が率いるチームでプレーした【写真:本人提供】

■大リーグ球宴の前座試合で活躍、グリフィーJr.から助言も

 慶応高(神奈川)で2018年夏の甲子園に出場したスラッガーが、米国の大学で腕を磨いて帰国。24日に行われるプロ野球のドラフト会議での指名を待っている。根岸辰昇(たつのり)内野手はこの夏、米大リーグのオールスターゲームの“前座”として行われた試合で活躍。大学最後のシーズンでも自己最高の成績を残した。慶大に進まず米球界へという異色の経歴や、米国生活で得た強みを振り返ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)

 米国のミドルテネシー州立大学を卒業し、この夏帰国した根岸には、すでにNPBの複数球団から調査がかかっている。ドラフト会議まであとわずかという状況でも「ドキドキはします。でも大谷選手や鈴木誠也選手を見ていたら、そんなことは言ってられないなと。ああいう選手になりたいと思っているので」。インターネット上でファンが行う“仮想ドラフト”も目に入るが、プロ入りはあくまで通過点。目指すはその世界での活躍だと心得ている。

 異国で積んだ実績は十分だ。7月12日(日本時間13日)、根岸の姿は米大リーグの球宴を控えたレンジャーズの本拠地、グローブライフ・フィールドにあった。全米のマイノリティ選手を集めた大学野球のオールスターゲーム「HBCU スイングマン・クラシック」に出場するためだ。マリナーズなどで通算630本塁打した殿堂入り選手、ケン・グリフィーJr.がメンバー選考に関わり監督も務めるこの試合で、根岸は4番に座り2打数1安打。試合中には、グリフィーJr.に熱心に話しかけている様子が中継映像に映った。

「バッティングのことを聞きに行ったんですが、アドバイスは結構日本人的でした。『しっかり前足に体重を乗せて、後ろの肩を下げずに打て』と。こういうところでプレーできるのは自信になりましたし、グリフィーさんに認めてもらえたというのもうれしかったですね」。大リーグ球団のスカウトと話す機会もあり「日本でプロになりたい」と伝えると「お前ならできるよ」と激励を受けた。

 大舞台に選ばれるだけの実績を残してきた。大学最後のシーズン、根岸はNCAA(全米大学体育協会)1部を戦うノースカロライナA&T州立大で打率.371、8本塁打、37打点。いずれも自己最高の成績だった。海を渡って5年、どんな進化がこの結果に結びついたのだろうか。

「日本とアメリカの打者は、投球に対するアプローチや、練習からして違います。そこで日本ではないスキルを身につけたり、一方で日本の野球の経験も融合させられたのが、好成績につながったのではないかと思います」


根岸は自身の経験を後輩たちに還元したいと考えている【写真:羽鳥慶太】

■米国でも守った日本人の長所「やはり違うんです」

 一つの例として米国の打撃練習は、日本のように投手が正規の距離で投げてくるボールを打つのではなく、マウンドまで半分ほどの距離から速いテンポでポンポン投げ込んでくる。必然的に対応力が磨かれ、その過程では打席で細かいことが気にならなくなるという副産物もあった。

「米国では、いいバッターは作るものではなく生まれるもので、150キロを超えるボールの芯に当てられる技術は天性のものだという考え方が根強いんです。それが僕にはある、信じてやれと言われて、テークバックがどうとか細かいところを気にするのではなく、自分のスキルを信じられるようになりました」

 根岸の身長は180センチ。高校3年時に83キロだった体重は、100キロ近くにまでなった。筋力をつけるという選択も、環境に適応しようとした結果だ。「自分は左投げなので、ポジションが外野か一塁になる。必然的にパワーが、筋力が大事かなと」。スラッガ―として勝負するために、アメフトのコーチの助けも得ながら体づくりに励んだ。スピードを失わずに増量することに成功した。

 一方、異文化の中に飛び込んだことで、日本人の優れている点も感じたという。「ハードワークとか、組織の中で役割を果たすという部分は変わらないようにと思ってやっていました。やはり日本人は勤勉さが違うんです。練習量を確保するようにして」。変わるべきところと、変えてはいけないところを見極めてプロ注目の存在となった。

「プロになるからには上を目指す。球界一の選手になることが目標です」

 慶応高卒業後、最初に飛び込んだのはカリフォルニア州のオレンジコースト短大。エンゼルスやドジャースの本拠地で大リーグの試合を見た。大谷翔平投手の活躍で、日本人選手に対する評価が上がっていく過程も肌で感じた。その上で、思い描いていることがある。

「自分は特異な経験をしてきました。これを将来的には、続く選手に還元できればと思っています」。今はまだ特殊な、日本の高校→米大学→プロ野球というルート。後に続く選手のためにも、道を切り開いていく。(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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