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あと1球から浴びた同点打 山梨学院の194cm1年生エースが流した“2つの涙” ベンチ横で目撃した成長の糧

THE ANSWER / 2024年10月28日 7時3分

試合終了の整列後、ベンチへ戻りながら左手で顔を覆い、涙を拭う山梨学院の菰田陽生【写真:中戸川知世】

■THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム

 第77回秋季関東地区高校野球大会は27日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で1回戦2試合を行い、第1試合では山梨学院(山梨)が東海大相模(神奈川)に延長10回タイブレークの末、6-5でサヨナラ勝ちした。山梨学院は実に6投手を起用。背番号1の1年生エースが3時間23分の中で見せた2種類の涙は”成長の糧”になると感じた。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)

 サヨナラ勝利にも顔をゆがませていた。山梨学院の菰田陽生投手(1年)は試合終了の整列後、ベンチへ戻りながら左手で顔を覆い、涙を拭った。実は9回裏にも、人知れず涙を見せていたのを目撃した私には、違う種類の涙に見えた。

 5番手で登板した菰田は9回、東海大相模をあとアウト1つまで追いつめた。5-4と1点リードし、ストライクを1つ取るごとに盛り上がるベンチ。しかし、2ストライクと追い込んだところから東海大相模の山口寛太外野手(2年)に粘られ、最後はレフトへ飛ぶ同点適時打を許した。火が消えたように静かになったのは、山梨学院の一塁側。カメラマン席にいた私は、すぐ隣に見えるベンチのテンションが一気に下がっていくのを感じた。

 ここは何とか同点まででしのいだが、打線は裏の攻撃で勝ち越せず、勝負はタイブレークの延長戦へ。ここでベンチ裏にある水を取りに来た菰田は、手すりに手をつき、顔を歪めて涙をこらえていた。「悔しい」という気持ちが、くしゃくしゃになった顔から伝わってくる。2点のリードを守り切れなかった自分を責めているようだった。


背番号1を背負って8回から5番手で登板した菰田【写真:中戸川知世】

 声援とすすり泣きが混じって聞こえる中で始まった延長の攻防。まず東海大相模の攻撃をゼロに抑えた後、裏の攻撃は無死一、二塁から田村颯丈郎外野手(2年)の三塁内野安打で満塁に。さらに主将の梅村団内野手(2年)が二塁にゴロを放ち、代走の小澤琉次外野手(2年)が見事生還してみせた。

 一塁ベンチから、山梨学院ナインがホームへ殺到する。抱き合ったりお互いに称えあったりする中、身長194センチと頭一つ高い菰田が頭を抱えながら飛び出していくのが見え、レンズで追った。笑顔が混ざった泣き顔は、ベンチ裏で泣いていた時とは違い「嬉しさと安堵」からくる表情に思えた。

 1年生で背負う背番号1。とてつもない重圧と悔しさを味わった試合で仲間とつかんだ勝利は、きっと成長の糧となる。(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)

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