高校2年生が叩き出した158km「ちょっとヤバいな」 石垣元気の対戦相手が語った“体感”「対応できなくは…」
THE ANSWER / 2024年10月30日 6時33分
■「多分出てない」本人は冷静、実際どう見えた?
第77回秋季関東高校野球大会は29日、川崎市の等々力球場で準々決勝を行い、健大高崎(群馬)が佐野日大(栃木)に10-3で7回コールド勝ち。来春の選抜甲子園出場をほぼ当確とした。先発の石垣元気投手(2年)が最速158キロを記録するなど、最後まで150キロ台の球速を叩き出す圧倒的な投球を披露。高校2年生として規格外と言える数字の“周辺”を追った。
石垣は今夏の甲子園でも登板した右腕。この日は初回から150キロ台の直球を連発した。先頭の井上遥翔内野手(2年)に左前打を許したものの、続く金子大輝内野手(2年)の打席でスコアボードに156キロが表示された。
2回、2死三塁で8番の福田来貴外野手(2年)を左打席に迎えると156キロを連発。最後はフルカウントから内角に外れたボール球が158キロと表示され、スタンドがどよめいた。打席の福田は腰を引いて避けながら目をむいて驚きの声を上げた。
福田はその“瞬間”を「伸びはあまりなくて、ズドンと来た感じだった。内角だったのでちょっとヤバいなという感じ」と振り返る。石垣の武器は剛速球だとわかった上で、対策としてあえて、緩いボールを前でさばく練習を繰り返してきた。想像以上のスピードボールが来ても、差し込まれないための工夫だった。
実際にこの回、石垣は2死満塁から1番の井上に、左翼へ走者一掃の二塁打を浴びている。福田は生還してから、チームメートに158キロが出ていたと教えてもらったが「158キロでも驚きはそれほどなくて。対応できなくはないと感じました」。156キロ、158キロというボールにもつられて手を出すことなく、しっかり見送ることができた。むしろ「ストレートへの対応だけじゃ攻略できない」と、この冬は緩急への対応を磨きたいという。
準々決勝、佐野日大戦で石垣とバッテリーを組んだ小堀弘晴(右)【写真:中戸川知世】
■捕手は集中力に驚き「うまく使えなかった」反省も
当の石垣は158キロについて「たぶんそんなに出てないと思います」と冷静だった。この大会での登板は初めてだが、チームは霞ヶ浦(茨城)との1回戦を同じ等々力球場で戦っており、その時から「(球速が)出やすいんだろうなと思っていました」という。球場によって、スピードガンの“クセ”は確かに存在する。「マックスでも153、154という感じ」と話すように、自身の感覚より少し速く出ていたと認識している。
そんな中、バッテリーを組んだ小堀弘晴捕手(2年)は158キロについて「これは出てるな、という感じのボールでした」と威力を感じていた。今夏の正捕手は高校日本代表にも選ばれた箱山遥人(3年)だったが、小堀はブルペンで石垣のボールをずっと受けてきた。「いつもと違うことはないんですけど、やっぱり試合なので集中力が高い状況なのかなと感じました」。試合でスイッチが入ったときのボールはやはり、超高校級だ。
一方で小堀は、別の課題を感じている。「ストレートが走っていたのに、普段通りのカーブとの組み合わせがうまく使えなかった。序盤ストレートに頼りすぎたのが自分の反省点です」。7回、最後の打者に対しても153キロを記録した直球は“麻薬”と言えるのかもしれない。それに頼りすぎず、緩急をしっかり付けられる石垣の良さを引き出していきたいという。
高校生の160キロに「来年には」と到達したいという石垣【写真:中戸川知世】
石垣は、過去に大谷翔平投手(ドジャース)や佐々木朗希投手(ロッテ)が記録した高校生の160キロに「来年には」と到達したい野望を持っている。超高校級の球速が巻き起こした狂騒曲。実際どうだったかはともかく、今後は“158キロ右腕”という看板を背負う。敵も味方も、それをどう生かし、超えていくかに知恵を絞る。来夏の甲子園にかけて、世代の中心となっていくのは間違いなさそうだ。(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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