自ら女子バレー部の“寮母”に…特進コースの英語講師から転身、目指す春高 部活は「楽しくないといけない」
THE ANSWER / 2024年11月2日 13時55分
■バレー未経験から宇都宮文星女子高を率いる大倉修監督の指導
「THE ANSWER」の姉妹サイトで、スポーツを楽しむすべての女性を応援するメディア「W-ANS ACADEMY」は10月4日、子供を持つアスリートを支援する一般社団法人「MAN」との共催で、高校生対象の第1回部活動キャラバンを宇都宮文星女子高(栃木)で開催した。バレーボールで五輪4大会連続出場したMANの代表理事・荒木絵里香さんがゲストとして登場し、バレーボール部28人を対象に講演と部活指導という2部構成で行われた。共に指導を受けたバレー部の大倉修監督は「私が死んだとしても、この子たちなら自分たちで相談して良い試合をする」と部員との信頼関係を明かした。その背景には「普通の一生懸命な部活にしたい」との思いで築いてきた、新しい部活動のカタチが見えた。
宇都宮文星女子高に就職したのはあくまでも特進コースの英語講師として。当時の監督に「お前、手伝え」と言われ、未経験のバレー部に関わり始めた。以来、十数年にわたってサポートに尽力。監督の退職に伴い、代わって2016年に就任した。バレー経験がなく、何百回も動画を見て研究し、「こんなに大変な仕事はないですよ」と苦笑いで振り返るが、県ベスト8で受け継いだ部を、2022年には悲願のインターハイ出場まで育て上げた。そんな8年間で見えたのは、部員との信頼関係の大切さだった。
モットーは「楽しくないといけない。普通の一生懸命な部活にしたい」。強豪校では過酷な練習が当たり前。反対に、負けても楽しければいいチームもある。しかし「うちは違う」と断言。練習メニューは部員からも提案があり、「理由もしっかりしている。両方がいいところを出せるようにしたらいい」と互いに尊重し、相談しながら組んでいるという。「もう少し勝ちたいとなればこれぐらいの練習が必要というのをやる。そこまでを楽しまないと」と部員の希望もくみ取り、歩んできた。
時には厳しい言葉も浴びせられた。名だたる監督から「だからお前のチームは勝てないんだ、甘い」と言われた。しかし、信念はぶらさず、2年前にインターハイへ出場したときには「ほら、勝てたじゃないか」と心の中でガッツポーズ。「普通の部活の延長線上だって、インターハイにはいける」。やってきたことに間違いはなかったと自信を深めた。
普通のことをしていてもダメ。“強さ”はもちろんチームとして魅力的だ。しかし、「強さだけで勝負してもダメ。そうじゃない魅力をチームに作る必要がある」と敢えて勝敗以外にもこだわった。就任当時、栃木の強豪校が静かなチームだった。「つまらない。逆を行こう。盛り上げよう」と声を出すチーム作りに着手。この日指導した荒木さんも思わず「すごいですね!」と驚くほど、文星女子高の体育館にはつねに声が響き渡っていた。今では「明るくて、練習が楽しい」と周りからも評判だという。
熱心に指導する大倉監督【写真:中戸川知世】
■部活後は“寮母”として奔走、深めた部員との信頼関係
部員への思いは学校外でも見えた。実家が遠方の部員らのために近くのアパートを借りて寮を運営。「寮は部活動の延長というイメージがあるが、それが嫌で」と自ら“寮母”を担当し、部活を終えるとスーパーへ買い出し。部員らが入浴中に食事の準備をしている。自分は入口近くの小さな部屋で寝泊まりし「門番代わりです」と少し嬉しそうに語った。保護者ともグループLINEで毎日やり取りし、食事内容や生徒らの様子を連絡。「好きな時間に寝て、好きな時間に起きればいいと思う。帰りたい時は帰ればいい」と、縛られない環境がプレーに集中する後押しになっている。
毎日、部員へ食事を作っている【写真:監督本人提供】
「元気よくやってくれるんだったら良い。うちのなかでは、うまくて調子に乗ることと、自分はダメだと思ってしょんぼりすることが禁止。今いるところよりうまくなるという気持ちだけ同じ量を持っていてくれれば」と決して強制はしない監督の人間性が表れた。それでも懸命に日々練習に取り組み、自主的にメニューも提案する部員に「私が今日死んじゃったとしても、この子たちなら自分たちで相談して、今度は絶対良い試合をしてくれるという確信がある」と自信と信頼を見せた。
1月の春高バレー出場を目指し日々切磋琢磨する部員28人と監督。築き上げた信頼関係が試合でも発揮されるか。行く末を見届けたい。(THE ANSWER編集部・横田 美咲 / Misa Yokota)
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