スマホいじりのバス車内が一変…浦和実を横浜との大接戦に導いた「意識革命」 仕掛け人はスタメンじゃない主将
THE ANSWER / 2024年11月4日 7時3分
■横浜に1点差の惜敗に小野蓮主将「よくやったとは思いますけど…」
第77回秋季関東地区高校野球大会は3日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で準決勝2試合を行い、浦和実業(埼玉)は2-3で横浜(神奈川)に惜しくも敗れ、決勝へとコマを進めることはできなかった。ただ4強進出で、来春の選抜甲子園出場をほぼ手中に。背番号10の三塁コーチャーながら主将を務める小野蓮(2年)には、最後まで出場機会は訪れなかったが、自身が進めた“意識革命”が、春夏通じて初となる甲子園へチームを導く。
甲子園で春夏通算5度の優勝を誇る強豪と、甲子園にいまだ出場経験のない浦和実が大接戦を繰り広げた。2回、横浜の失策や野選に乗じて2点の先制に成功。先発の石戸颯汰投手(2年)はその裏1点を返されるも、独特のフォームから打たせて取るピッチングで横浜打線を手玉に取った。ただ5回、3安打を集中され2-3と逆転を許す。打線は7回から、登板予定のなかった横浜の151キロ右腕、織田翔希(1年)を引っ張り出すも、1点に泣いた。
そんな緊迫感あふれる試合の中で、背番号10の三塁コーチャーは最後まで声を張り上げ続けた。ピンチに陥ればベンチから伝令として飛び出し、チームを励ました。「ものすごく大事な役目だと思いますし、任されたからには責任をもって、自信を持ってやりたい」という言葉通りチームを後押し。その結果の大熱戦だった。それでも小野は「1点差。よくやったとは思いますけど、2点でも4点でも5点でも1点でも負けは負けなので。その1点をどう取るか、勝ち切るかだと思います」と全く満足せず、すでに次を見据えて動き出している。
浦和実業のここまでの道のりは決して楽なものではなかった。一つ上の世代は埼玉大会の4回戦で、春日部共栄に1-10と大敗し最後の夏を終えた。「試合に出る、出ないに関係なく、自分がチームを変えたいと思っていた」という小野は、新チーム立ち上げの際、レギュラーではないにもかかわらず、選手間の信任を得て主将に選ばれた。就任時には、「アップからの声出しだったり、試合に入る姿勢とか、あとはバスでの移動が多いのでそこでの過ごし方」など、課題は山積みだったという。
そこから意識改革を進めていった。以前は「バスに乗ったら皆、静かにスマホをいじっている」ような状況だったのが、今ではサインやシチュエーションを確認するミーティングを行っている。「バスでの過ごし方も変わりましたし、練習に対する姿勢も。指導者から言われずに、自分たちで考えて動くというところが以前と大きく変わった」と小野は胸を張る。
出番は訪れなかったものの、最後までチームのために戦った小野蓮(右から4人目)【写真:中戸川知世】
■「最初は反対だった」スタメンじゃないキャプテンに賛否両論
実は、小野の主将就任には賛否両論があった。野本大智捕手(2年)は「盛り上げてくれるのが一番ですけど、チームの士気を上げてくれるところも。言葉遣いがすごくうまいなって思います」と小野の優れたリーダーシップを証言する。「絶対にこのチームを変えてやろうって引っ張ってくれたので、ここまでこられた」と感謝しきりだ。
一方、エースの石戸は、三塁コーチャーの主将就任に当初は反対していた。「ほかにもキャプテンの素質を持った人はいたので。最初は反対だった」と明かす。スタメンに名を連ねない主将は、それほど少数派だ。それでも、小野が仕掛けた革命で少しずつチームが変わっていくのを感じ「今は賛成」と存在感を認めるようになった。
そして誰よりも不安だったのは、小野かもしれない。自身がキャプテンとして認められていると思うかと問われると「いや、自分は思いません」とキッパリ。ただ強烈な自負がある。「このチームをつくってきたのは自分なので。ここで負けてしまったのは、このチームをつくる上での力不足だったと思いますし、まだまだだと思います」と敗戦の責を負った。
浦和実業にとって初の甲子園にも、小野の存在は欠かせない。「いいチームになってますよ、こいつのおかげで」と辻川正彦監督も目を細める。2019年春以来の出場だった関東大会で4強、そして横浜をあと一歩で倒すところまで迫った。冬を越えた先には、どんな驚きを与えてくれるだろうか。(THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda)
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