ムキムキ揃いの健大高崎で“チーム一”の小兵が輝くワケ 「この身体でどうにかする」教えをくれた日ハム選手

「1番・遊撃」で先発し、4打数3安打、2得点を記録した加藤大成【写真：中戸川知世】

■関東大会準決勝で千葉黎明に快勝、1番の加藤大成は3安打2得点

　第77回秋季関東地区高校野球大会は3日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で準決勝2試合を行い、健大高崎（群馬）は6-0で千葉黎明（千葉）に快勝。決勝へとコマを進めた。この試合で大車輪の活躍を見せたのが「1番・遊撃」で先発し、4打数3安打、2得点を記録した加藤大成内野手（2年）だ。身長164センチの小兵だが、パンチ力のある打撃と安定感のある守備で勝利に貢献。「身長が低くても関係ない」と主張する“根拠”とは。

　筋骨隆々の選手が並ぶ健大高崎打線で、チーム一の小兵が誰よりも躍動した。バットのヘッドを利かせて強い打球を打つスタイルをより際立たせるため、準々決勝からバットを1センチ長くして戦っている加藤。その効果は即座に表れた。「1番・遊撃」で先発し、初回先頭で打席に立つと、きれいな流し打ちで左前打。第2打席は三振に倒れたものの、第3打席でも左前打を放つと、第4打席は右前へ。広角に打ち分ける打撃技術を見せつけ、4打数3安打、2得点とリードオフマンの役割を果たした。

　健大高崎では、10月29日の佐野日大（栃木）との準々決勝で、最速158キロを記録した右腕の石垣元気（2年）が注目されている。加藤はその石垣に身長をネタにいじられることもあるというが、野球に関しては「関係ない」とキッパリ。そう言い切れるのは絶好の“お手本”を見たからだ。

安定感のある守備でも勝利に貢献した加藤大成【写真：中戸川知世】

　2018年、記念すべき100回目の夏の選手権大会。常葉大菊川（静岡）の奈良間大己（現日本ハム）が益田東（島根）戦で放ったバックスクリーンへのホームランが、今でも目に焼き付いている。奈良間は身長172センチと決して大きくないが、甲子園では1本塁打を含む4本の長打を放ち「静岡のジーター」の異名をとった。「小柄な選手ですけど、ああいう風に打球が飛びますし、できることは小さい選手でもあると思う」と今でも参考にしている。

「身長を伸ばそうと思っても無理だと思うので、この身体でどうにかするしかない」という思考が、いくつもの工夫につながっている。「この体格で周りの選手たちと同じように打球を飛ばさなきゃいけないと思ったので、ウエートトレーニングはひんぱんにやるようにしています」。体格を言いわけにせず、どうすれば補えるかを常に考えている。

　4日には、2020年以来4年ぶりの優勝をかけて神奈川の強豪・横浜と対戦する。「本当にピッチャー陣も固いですし、バッティングに関しても去年から（試合に）出ている選手も多い印象がある。経験という面においても互角だと思う」。それでも、「全員がベストな状態でワンプレー、ワンプレー大切にしてやっていけば絶対に勝利はついてくる」と自信満々に語った加藤。チームを関東の頂点に導く働きをできるだろうか。（THE ANSWER編集部・戸田 湧大 / Yudai Toda）