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「まるで成瀬さん」 横浜・村田浩明監督が大苦戦の左腕を称賛 浦和実・石戸颯汰をとらえた“ボール1個”の修正

THE ANSWER / 2024年11月4日 8時43分

準決勝、横浜戦に先発登板した浦和実・石戸颯汰【写真:中戸川知世】

■浦和実の変則投法、石戸に村田監督「何かを持っている」

 第77回秋季関東高校野球は3日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で準決勝2試合を行い、第1試合では横浜(神奈川)が浦和実(埼玉)を3-2で下して2007年以来17年ぶりの決勝進出を果たした。横浜は浦和実の先発マウンドに立った石戸颯汰投手(2年)に序盤大苦戦。5回にようやく3安打を集中し3-2と逆転すると、そのまま逃げ切った。村田浩明監督は「成瀬さんのような感覚」と、高校時代に捕手として受けたOBの名前を出して石戸を称賛。一方でナインはボール1個分の違いを見切り、攻略につなげた。

「勝ってきた投手は、やはり何かを持っているんですよ。ストレートが少しスライダー回転して、スライダーも曲がる。まるで成瀬さんのような感覚だろうなと」


横浜・村田浩明監督は石戸に1年先輩にあたる左腕の姿を重ねていた【写真:中戸川知世】

 石戸の印象を問われた村田浩明監督の口から出た言葉だ。横浜での高校時代は、同期の涌井秀章投手(中日)とのバッテリーで知られた指揮官は、1年先輩にあたる左腕の姿を石戸に重ねていた。ロッテなどでプレーした成瀬善久投手はプロ通算96勝。ストレートは130キロ台だが、投球モーションを起こす際に右手を壁のように使い、打者にギリギリまでボールを見せないのが特徴だった。石戸が中学時代に現在のフォームへ行き着いたのも、ボールの出所を極力見せず、打者のタイミングを外すため。最大級の賛辞と言ってよかった。

 横浜はそれほど苦しんだ。2回に2点の先制を許し、その裏1死一、三塁から駒橋優樹捕手(2年)の犠飛で1点を返した。ただいったん沈んだところから左腕を思い切り上げ、オーバースローで振り下ろす石戸の変則モーションには手を焼いた。フォームを追えば目線が上下にぶれる。なかなか走者を進められず、時間ばかりが過ぎた。


同点となる適時二塁打を放った横浜・奥村凌大【写真:中戸川知世】

■事前対策との違いを発見した奥村凌「思っているよりも1個外を…」

 ようやく反撃に転じたのは5回だ。1死から「1番・中堅」の阿部葉太(2年)が左翼への二塁打で出塁。2死後打席に立った「3番・二塁」の奥村凌大(2年)は、一塁線をゴロで抜く適時二塁打を放ち同点とした。さらに1年生ながら4番に座る小野舜友(1年)が中前に勝ち越し打で3-2。この1点のリードを守り抜いた。

 準々決勝でつくば秀英を4安打完封している石戸の対策は、横浜も抜かりなく進めていたという。ただ同点打の奥村凌は「想定していたよりも全然良くて……。ストレートがスライダー回転していて、いつも通り打つとファウルにしかならなかった」。ナチュラルに変化する直球をとらえきれなかった。

 ただ、横浜ナインの問題解決能力はさすがだった。奥村凌は3回、見逃し三振に倒れた際に小さな変化に気づき、ベンチに持ち帰った。すぐにナインは話し合って「思っているよりもボール1個外を打ちにいこう」と、たったボール1個分の違いを狙っていこうと意思統一。奥村の適時打は、低めの直球が変化するのに合わせて打ち返したものだった。

 決勝打の小野は「明日勝たないと意味がない。選抜よりもまず明日の決勝戦」と、2007年に慶応を破って以来遠ざかっている秋の関東一に全力で挑むつもりだ。東農大二(群馬)との準々決勝も2-0という僅差をものにしているこの秋の横浜。健大高崎との決勝はどんな戦いになるだろうか。(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)

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