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極限状態プロテストで謝罪「取材対応できず…」 5度目で涙の合格、22歳六車日那乃に表れた人柄

THE ANSWER / 2024年11月4日 9時22分

5度目のプロテスト、ボーダーラインとなる19位タイで合格を果たした六車日那乃【写真:Getty Images】

■JLPGA最終プロテスト

 2024年度の日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)最終プロテストは、1日まで茨城・大洗GC(6602ヤード、パー72)で4日間行われ、上位26人が合格した。プロテスト5度目、最終は4度目の受験だった六車日那乃は2バーディー、4ボギーの74で回り、通算4オーバー。ボーダーラインとなる19位タイで合格を果たした。取材時には思わず涙。その人柄を感じさせる謝罪の言葉もあった。

 最終18番パー4。六車は勝負のパーパットを外した。

「あ、終わった」。痛恨のボギー。必死に涙をこらえ、うつむきながらクラブハウスに向かった。

 精神的にも極限状態の4日間。ホールアウト時の心境は「また1年無駄にしちゃった」。絶望感に苛まれたが、運命には見捨てられていなかった。ボーダーライン上でギリギリの合格。跳ね返され続けてきた関門を遂に突破した。

 合格が決まった直後の取材対応。思わず「え……泣いちゃダメですよね」と口に出た。声を震わせ「よかったっていう気持ちと、本当にいろんな人にありがとうっていう気持ちがあります」と感謝を表現。さらに「3日目、取材対応できなくてすみませんでした」と謝った。

 前日の第3ラウンド終了時点で、六車は18位。合格圏内にいたが、いっぱいいっぱいだった。取材希望に対し、ホールアウト後に応じられる選手が応じ、難しければ断ってOKの方式。報道陣も状況を理解しており、謝罪する必要はなかったが、人柄が表れた。

 19歳で臨んだ初めてのプロテストで最終(2021年6月)まで進出したが、63位で突破ならず。ここから長い戦いが始まった。同年10月は2次で敗退。22年は最終で1打差に泣き、23年も同35位。20年のナショナルチームメンバーで、JLPGAツアーでも存在感を見せるなど注目のアマチュア選手だったが「プロ」の称号を手にするのは簡単ではなかった。

■合格圏内なのに「落ちたような気分というか…」

「(3日目終了時は)合格圏内にいたのに落ちたような気分というか、すごく不安でした」

 また今年も……のマイナス思考に打ち勝てたのは、周囲のエールのおかげ。特に師事する辻村明志コーチからかけられた「絶対やるぞ」の声に勇気づけられた。

 プロになるまで回り道こそしたが、プレーヤーとしては確実に成長を実感している。「ショットも安定してきたし、試合に出ても悪いところから巻き返すこともできたりしてきた」。指導者に頼り切りではなく、自分で考える機会も多くなったという。

 1度目のプロテストに落ち、スイングすることすら怖くなった。「普通に打てるまでは大変だったなって思います」。今年度は1次予選からの受験者総人数695人で、合格率3.7%の難関。毎年たった1打届かず涙する選手もいる。めげずに毎年立ち向かい続けたからこそ、今がある。「せっかく掴んだ資格なので、上田桃子さんのようなトッププロになっていきたい」。撮影に応じる22歳の表情は、屈託のない笑顔に変わっていた。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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