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難病と戦い、副作用に悩んだ“元天才ゴルフ少女”がプロテスト7度目で突破 平塚新夢、負けず嫌いが繋いだ今

THE ANSWER / 2024年11月4日 11時33分

通算7度目のプロテスト受験で19位で合格した平塚新夢【写真:Getty Images】

■JLPGA最終プロテスト

 2024年度の日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)最終プロテストは、1日まで茨城・大洗GC(6602ヤード、パー72)で4日間行われ、上位26人が合格した。14位から出た平塚新夢は3バーディー、2ボギー、2ダブルボギーの75で回り、通算4オーバーの19位で合格。中3時に世界ジュニアマッチプレー選手権で優勝するなど“天才少女”とも呼ばれたが、国が指定する難病「成人発症スチル病」を患い、今も向き合う。通算7度目の受験で遂に突破となり「しんどすぎました」と我慢の一日を振り返った。

 状態は良い時の50%で迎えたプロテスト。海沿いの難コースとして知られる大洗GCで、最終日は耐えに耐えた。「ショートパットがどう打っても入らなくなっちゃった」と7番、11番でダブルボギーを叩く苦しい展開。一時は合格圏外に順位を落とした。

 コース途中のリーダーボードで、ボーダーラインが下がっていることを確認。「あと1個獲れば届く」と集中した16番で、約5メートルのバーディーパットを沈めた。結果的に、合格ラインぎりぎりの19位に。微妙な距離が残った最終18番のパーパットを決め、コースに一礼。合格者の撮影では安堵の笑みも浮かべた。

 中3で出場した世界ジュニアマッチプレー選手権を制し、明秀学園日立高3年時にはステップ・アップ・ツアーの「静ヒルズレディース 森ビルカップ」で史上5人目のアマチュア優勝を果たすなど“天才少女”とも言われた。しかし、1度目のプロテスト受験だった2018年、群発頭痛に襲われ2次予選を欠場。さらにツアー予選会(QT)突破を目指す中でも体調を崩した。

 国が指定する難病「成人発症スチル病」と診断された。難病情報センター公式サイトによると、日本では人口10万人当たり3.7人が患うという珍しい病気だ。

「力が入らず、関節痛で立ち上がったり、起き上がったりするのも大変」。症状を抑える薬の副作用で顔がパンパンに丸くなる「ムーンフェイス」にも悩んだ。食べる量は変わらなくても筋力が減り、脂肪だけが増える。約6か月後には練習を再開したが、躓いた影響は大きかった。

■今も通院は継続、プロテストは「正直嫌だけど…」

 現在も薬を飲みつつ、2か月おきに通院するなど病と向き合う。今回でプロテスト受験は7度目。最終まで進んだのは3度目だった。

 毎年1打届かず涙する選手も出る、独特の緊張感が漂う4日間。今年度は1次予選からの受験者総人数695人で、合格率は毎年3%前後となる難関。平塚も精神的に苦しむ選手の一人だった。「正直嫌だけど、やらないといけないし、頑張りたい気持ちはあるので、感情がいつもごちゃごちゃになります」。2次テストから毎朝、コースに来る前に涙するほどだった。

 毎年この苦痛を味わうのは辛い。プロゴルファーではなく、別の道を考えたこともある。諦めきれなかった要因が「負けず嫌い」であることに気付けたのはここ数年のことだ。

「勝負事、勝ち負けがつくものが嫌いだと思っていたんですけど、ある人に『負けず嫌いが強すぎて、負けたくないからやりたくないんだろうね』って言われて。自分の中でかなり腑に落ちたんです。

 ゴルフをしていない普通の友達に相談しても、目指せるものがあるだけ羨ましいと言ってもらえる。辞めるのは簡単なので、本当に辞めたくなったら潔くやめればいい。ちょっとでも心残りあるなら、頑張ろうかなと」

 ようやく辿り着いたスタートライン。「高校卒業から7年も経っちゃって、長かった」と実感を込める。「シード選手になりたいですね。常にリーダーボードの上位に顔を出せる、安定したプレーで優勝争いしたい」。プロになり、現実的に描ける新しい夢も増えた。回り道したが、一つ一つ叶えていく。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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