立ち尽くして涙…ナインの輪に入れず 決勝で横浜に惜敗、健大高崎が悔しさを乗り越えるための“儀式”
THE ANSWER / 2024年11月5日 7時3分
■THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム
第77回秋季関東地区高校野球大会は4日、横浜市のサーティーフォー保土ヶ谷で決勝を行い、健大高崎(群馬)は横浜(神奈川)に延長10回タイブレークの末、3-4で逆転負けを喫した。試合終了後、カメラのファインダーに飛び込んできたのが、ベンチ前で足を止めて泣いていた1人の選手。仲間がそっと支え、輪に引き入れる光景がまぶしく映った。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
たった1人、ベンチの前で足を止めて泣いていた。
サヨナラ負けを喫した直後の整列。健大高崎ナインはそれぞれ顔に悔しさを浮かべながらスタンドへ挨拶し、ミーティングのためベンチへ下がっていく。最後に戻ってきたのは、最後の瞬間に左翼を守っていた鶴岡太一朗(2年)だった。ただチームメートの輪に近寄ったものの、数歩手前で体が動かない。見ると、顔にユニホームを押し当て涙していた。
タイブレークに突入した延長10回。まず代走で出場した鶴岡は、その裏左翼の守備に就いた。1死二、三塁から、横浜の奥村凌大内野手(2年)の打球は右翼線にふらふら上がり、必死で追う右翼手と二塁手の間へ落ちた。左翼からは何もできない。どう消化していいのかわからないほどの悔しさが、あふれたあまりの行動に見えた。
仲間がそっと支え、輪に引き入れる光景がまぶしく映った【写真:中戸川知世】
そこにチームメートが現れ、鶴岡の左腕をそっと取り、輪に引き入れた。7回途中から登板し、2回1/3を無失点に抑えた下重賢慎投手(2年)だった。夢中でシャッターを切った私は、ともに戦ったものにしかわからない思いを知りたくなり、試合後の選手を探した。
下重は「自分も悔しかったですけど、ここで下を向いているようではいけない。まだ最後じゃないし、この先もある。最後までやることはやってから悔やむようにしよう」と、鶴岡の手を引いた場面を振り返ってくれた。悔しさはみんな同じ。そこから先に向かうための“儀式”だった。
延長10回裏、外野の守備位置へ走る鶴岡【写真:中戸川知世】
健大高崎は優勝こそ逃したものの、来春の選抜甲子園出場は当確としている。敗戦から得た教訓を胸に、成長できる時間はたっぷりある。次のステップへ、仲間とともに歩みは止めない。(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
関東準V、健大高崎の“幹”になった北海道の絆 下重賢慎が追い求める158km右腕との違い「負ける気はしない」
THE ANSWER / 2024年11月5日 7時33分
-
関東制覇の横浜エース、2回降板から“たった1日”で復活の裏側 応援皆勤の母へ届けた「ふがいなかった…」
THE ANSWER / 2024年11月5日 6時33分
-
「あとは頼む」「ごめん…」 佐野日大のエースが口を“真一文字”に結んだワケ 意外な肩組みに見えた仲間の温かさ
THE ANSWER / 2024年10月30日 7時3分
-
あと1球から浴びた同点打 山梨学院の194cm1年生エースが流した“2つの涙” ベンチ横で目撃した成長の糧
THE ANSWER / 2024年10月28日 7時3分
-
歓喜爆発が生んだ偶然の“左右対称” 初の甲子園へ前進したつくば秀英、チームカラーが作り上げた芸術
THE ANSWER / 2024年10月27日 7時23分
ランキング
-
1高橋藍は左足首違和感でベンチ登録外 パリ五輪前からの経過の中で「波はあると思う」9日東レ静岡戦は「状態を見て」
スポーツ報知 / 2024年11月4日 20時38分
-
2「日本人の尊敬レベルは正気じゃない」 河村勇輝が「失礼」と自覚も…正直な発言に米ファン感激
THE ANSWER / 2024年11月4日 14時33分
-
3負傷の上田綺世 年内復帰が絶望的 11月のW杯最終予選の招集見送りへ…フェイノールト「今年はプレーしない」
スポーツ報知 / 2024年11月4日 23時25分
-
4「チャンスをくれた」ドジャース・ヘルナンデスの“涙のスピーチ”に大歓声 オフにFAも「ドジャース最優先」
日テレNEWS NNN / 2024年11月3日 12時37分
-
5巨人・大勢、侍ジャパン「守護神」に…WBCの大谷翔平のようなシーン思い描く
読売新聞 / 2024年11月4日 21時18分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください