すき間なし…ベンチに連なる一つの塊 優勝した横浜と大接戦、東農大二に受け継がれる伝統の“形”
THE ANSWER / 2024年11月6日 7時33分
■THE ANSWER編集部・カメラマンフォトコラム
第77回秋季関東地区高校野球大会は、横浜(神奈川)の2007年以来17年ぶりの優勝で幕を閉じた。その中で特に印象に残ったシーンを、フォトコラムで紹介していく。10月28日に行われた準々決勝では、東農大二(群馬)が横浜に0-2で敗戦。気になったのは、試合が進むにつれて目立つようになったベンチの“塊”だ。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
ベンチの左側に身を寄せ合い、一つの塊になった。試合が行われたサーティーフォー保土ヶ谷の一塁側カメラマン席から、打席に立つ横浜の選手を撮っていた。その先に見えたのは、三塁ベンチの東農大二ナインが、バットケースの脇で指揮をとる監督にぴったり並んでいる姿だ。何かの用事で離れた選手も、必ず列に戻ってきて声援を送る。好きな場所で声を出し、応援するスタイルを多く見てきたので、理由が気になった。
青木一将監督に聞くと「スター選手もいないチームですので、スタンドで応援してくれている人も含めて全員で一丸となって向かっていくのがうちの形です」。誰が決めたわけでもないこのスタイルは、自然と受け継がれてきたものだという。そして今の代には、より、気持ちがこもるきっかけがあった。
今夏の群馬大会準々決勝、前橋育英との試合だ。4-1と3点リードした9回2死一、三塁から、まさかの3ランを浴び同点とされた。さらにタイブレークの10回にも4失点し、7-8で逆転負け。一球の怖さを思い知らされた。全員で一球一球、神経を研ぎ澄ませて試合を見るようになり、徐々に隣の選手とのすき間がなくなっていった。
この試合では、横浜先発のスーパー1年生・織田翔希投手に打線が2安打と抑え込まれた。青木監督は「良い経験になったので、これを活かして全国レベルの投手から点数を取れるように打撃強化を目指したい」と早くも来春を見据えている。
守っては横浜打線を2点に抑え、粘り強く戦った。一球ごとに集中した結果だった。気持ちを一つにしているのが、形としても表れていた東農大二。春に向け、全員で同じ方向を見て進んでいく。(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)
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