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最強牝馬に何度も敗れ「もう終わった」 2歳女王の復活信じ…「◎」を打ち続けた穴党の“痛恨の予想”

THE ANSWER / 2024年11月7日 10時33分

2019年エリザベス女王杯、インから突き抜け復活のG1勝ちを果たしたラッキーライラック【写真:産経新聞社】

■2019年に古馬G1初制覇を果たしたラッキーライラック

 秋競馬のG1シリーズは今週から7週連続開催となり、10日には牝馬限定のエリザベス女王杯が京都競馬場の芝2200メートルを舞台に行われる。勢いのある3歳馬と実績と経験を積んだ4歳以上の古馬勢が激突する注目の一戦。競馬ライターの井内利彰氏が調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」で取り上げるのは、3歳時に“歴代最強牝馬”と名高いライバルの後塵を拝しながら、古馬になってから復活を果たした2歳女王について。気が付いた時は、時すでに遅し……。5年前の“痛恨”の予想で、自身の未熟さを感じたという。

◇ ◇ ◇

 今年はJRAが70周年特別企画として、G1歴代優勝馬から1頭を選ぶ「メモリアルヒーローファン投票」を実施。選出された馬はG1レースの直前の特別レースで馬名を冠していますが、今週のエリザベス女王杯デーは「JRAウルトラプレミアム ラッキーライラックカップ」が実施されます。

 ラッキーライラックは松永幹夫厩舎で管理されましたが、半姉のラルクも同厩舎。ラルクがディープインパクト産駒に対して、ラッキーライラックはオルフェーヴル産駒だったこともあり、栗東へ入厩する前から松永幹夫調教師に「タイプは違いますね」と聞いていました。実際に自分の眼でその姿を確認してもラルクとはシルエットが違いましたし、少し肢の長い馬だなあという印象。新潟芝1600メートルでデビューすると聞いた時は距離がどうかなあと思いましたが、牝馬なら桜花賞、というのが第一目標になりますから、当然と言えば当然ですね。

 デビュー当日はウインズ新白河でイベントの仕事をしていましたが「今日、新潟マイルの新馬戦を勝ったラッキーライラックは後にG1を勝つと思うので、覚えておいてくださいね」と高らかに宣言したんですよね。

 ラッキーライラックを担当していたのは、丸内永舟調教助手。松永厩舎の前に在籍した山本正司厩舎では天皇賞・秋を制したヘヴンリーロマンスを担当していましたが、その時のジョッキーが松永調教師。私は「競馬には縁が大切」とスピリチュアルなところがあるので「調教助手と騎手」でG1を制したコンビが「調教助手と調教師」になってもG1を制するんじゃないかと思ったわけです。

■デビューから4連勝、2歳女王としてクラシックへ

 その後、アルテミスSを勝ち、阪神JFも完勝して2歳女王に。出演した競馬予想TV!で◎を打ったのはもちろん、レース当日は中山競馬場でイベントに出演していたので、観覧者の前でも予想を披露してたくさんの拍手を頂戴したことは本当にうれしかったです。

 3歳になっての初戦、チューリップ賞でも「◎」を打っていたので、デビューから4連勝すべて◎を打っています。ですから、牝馬クラシック第1戦・桜花賞でも◎を打つということに全く迷いはありませんでした。

 レースは道中を3番手で進めて、最後の直線を向いたところで「勝ったな」と思っていると、大外から凄い脚で前に迫ってくる馬が……。それがアーモンドアイでした。この馬と同世代だったことがラッキーライラックにとっては不運だったかも知れません。

 オークス3着、秋華賞9着。アーモンドアイとの対戦では先着することができず、4歳になり、アーモンドアイと一緒に走ることがなくても、なかなか勝つことができません。「もう終わった」と酷評されることもありましたが、個人的には絶対にどこかでまた勝ってくれると信じていました。

 なのに、なのにですよ。2019年のエリザベス女王杯は「〇」にしてしまいました。このレースをモニターで観ていた場所はウインズ新白河。毎週、ウインズ新白河でイベントに出演しているわけではありませんよ(笑)。この時が2017年夏に初めてお邪魔してから3回目でした。新馬勝ちをモニターで観たウインズで、その時以来のモニター観戦。クロコスミアが後続を引き離して最後の直線に向いた時、内からスルスルと伸びてきたのがラッキーライラック。「そうだ、ここで新馬勝ちを観たんだった」と思い出した時がゴールでした。

 スピリチュアルなところがあるって言いながら、こういった復活劇を見抜けないところがまだまだなんです。ちなみにラッキーライラックへの本命の想いを上回るくらい魅力的だったのが、サトノガーネット。振り返ってみると、きっと「単勝84.0倍」が魅力だったんだろうなと思うと、結局人気薄が好きな穴党なんでしょうね。(井内 利彰 / Toshiaki Iuchi)

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。競馬予想TV!(フジテレビONE)に出演中。JRAの競馬場、ウインズのイベントに出演し、JRA主催のビギナーズセミナーの講師としても活躍。著書に「競馬に強くなる調教欄の取扱説明書」「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」などがある。

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