高校時代を岡山で過ごした台湾主将、学びは「やればできる」 指名漏れまで味わった陳傑憲の原点【プレミア12】
THE ANSWER / 2024年11月18日 7時43分
■プレミア12で話題沸騰、イケメン主将は岡山の高校でプレー
野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」で大健闘を見せているのが台湾だ。韓国との初戦を6-3で制し、その後のドミニカ戦と連勝。16日の日本戦には1-3で敗れたものの、その戦いぶりは現地ファンの熱狂を呼んでいる。「3番・中堅」が定位置で、主将の陳傑憲(チェン・ジェシェン)は、高校時代を岡山・共生高で過ごした。当時の教え「やればできる」が、今回のチームを作る上でも大きな参考になっているという。(取材・文=THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太)
16日の日本戦前、陳傑憲は精力的にグラウンドで動いていた。台湾メディアを前にしてのインタビューでは一つ一つ丁寧に受け答えし、ファンからのサインの求めにもしゃがんで目線を下げ、笑顔で応じた。代表の誰もが認めるキャプテンシー。このチームの象徴とも言える選手は12年前、日本の岡山・共生高で白球を追っていた。
2012年、最後の夏は「3番・三塁」が定位置。岡山大会の2回戦で強豪・関西高と当たって5-8で敗れ、甲子園出場はならなかった。その後、日本でプロ志望届を提出したものの、プロ入りはならず。台湾に戻って社会人野球の台湾電力でプレーしたのち、プロ野球の統一セブンイレブンライオンズ入りした苦労人だ。
身長173センチと、決して体格に恵まれた選手ではない、それでも、様々な野球を経験してきたことが自分の糧になっているという。当時、日本と台湾の野球の違いを、どう感じていたのだろうか。
「日本人の野球に対する『姿勢』ですね。そして向上意欲、自主練習などもそうですが、野球への『意識』が素晴らしいと思いました」
さらに、台湾代表のキャプテンとなった今、日本で見聞きしたチーム作りに関する考え方も、大いに参考になっているという。
日本戦で打席に立つ陳傑憲【写真:小林靖】
■「日本の選手の姿勢は、我々が学ぶべきもの」
「試合開始から試合終了まで決して諦めない姿勢、チームワークの良さ、そして、グラウンドにいる選手も、ベンチにいる選手も、どんな時も、一球一球集中していること、こうした日本の選手の姿勢は、我々が学ぶべきものだと思っています」
そんな日本でのプロ入りを願い、高校卒業時にはプロ志望届を提出した。ただ、無念の指名漏れ。「家庭の経済状況があまり芳しくなかったので、お金を稼がなければならなかったから」と台湾に戻り、社会人経由で素質を開花させた。そのキャプテンシーには生来のもののほかに、日本で学んだ部分もある。
「日本ではキャプテンであろうがなかろうが、皆がチームワークを重視し、互いにアドバイスしたり、励まし合ってプレーしていました」。チームのムードを作るのは、キャプテン1人ではないと学んだ。さらに、グラウンドへ向けた声出しにも、意味があると感じたという。
「グラウンドで精一杯のプレーをすれば、チームのムードは自然に盛り上がります。ベンチにいる選手も、一丸となってグラウンド上の選手に向けて声を出すこと、チームが一丸となり、声を出して盛り上げるといった部分ですね」
今も日本語は流暢に操る。「基本の会話はできますよ。大丈夫です。日本行って普通に会話できます」と笑う。最後に「好きな日本語」を聞くと、すべて日本語で返してくれた。
「『やればできる』です。高校のスローガンでした。校長先生がいつも『共生の皆さん、やればできます』とおっしゃっていたので、印象に残っています」
近年の対戦では劣勢だった韓国を下して波に乗れたのは、まさにこの「やればできる」で残せた結果だったのかもしれない。クールなルックスでも話題を集める主将は、東京ドームで行われるスーパーラウンドでの大暴れを目指し、走り続ける。(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)
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