台湾主将・陳傑憲は男泣き 打率.625でMVP獲得、日本のドラフト指名漏れ→12年後に侍Jを撃破【プレミア12】

MVPを獲得した台湾の主将・陳傑憲【写真：中戸川知世】

■ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12

　野球の国際大会「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」は24日、決勝の日本―台湾戦が行われ、台湾が4-0で勝利。嬉しい初優勝となった。1点リードの5回に主将・陳傑憲（チェン・ジェシェン）外野手が日本の先発・戸郷翔征投手（巨人）から右翼席へ3ラン本塁打。5打数3安打3打点に、守備範囲の広い中堅守備でも貢献し、大会MVPに選出された。高校時代を岡山県共生高で過ごし、日本のプロ野球のドラフトで指名漏れも経験。それから12年後の歓喜で、グラウンドでは涙も見せた。

　巨人のエースを粉砕した。1点リードの5回1死一、二塁の場面。陳傑憲はフルカウントから低めの速球をはじき返した。打球は右翼席へ飛び込む貴重な3ラン。感情を爆発させてダイヤモンドを一周した。この日は3安打の大暴れ。今大会は24打数15安打で打率.625、2本塁打、6打点と大活躍。勝利後はチームメートと歓喜の輪を作り、男泣きした。大会MVPにも選ばれ、場内はMVPコールに包まれた。

　高校時代を岡山・共生高で過ごした陳傑憲。2012年、最後の夏は「3番・三塁」が定位置。岡山大会の2回戦で強豪・関西高と当たって5-8で敗れ、甲子園出場はならなかった。その後、日本でプロ志望届を提出したものの、無念の指名漏れを経験。台湾に戻って社会人野球の台湾電力でプレーしたのち、プロ野球の統一セブンイレブンライオンズ入りした。

　その後、台湾代表のキャプテンになるまで成長。2023年のWBC、アジアチャンピオンシップなどに出場してきた。共生高で学んだことについては「日本人の野球に対する『姿勢』ですね。そして向上意欲、自主練習などもそうですが、野球への『意識』が素晴らしいと思いました」「試合開始から試合終了まで決して諦めない姿勢、チームワークの良さ、そして、グラウンドにいる選手も、ベンチにいる選手も、どんな時も、一球一球集中していること、こうした日本の選手の姿勢は、我々が学ぶべきものだと思っています」と話しており、代表チームを引っ張っていくうえでも役立てているという。

　日本のドラフト指名漏れから12年。WBCでも世界一に輝いた日本を破り、初の歓喜を味わった。強い台湾を作った一人は、間違いなく陳傑憲だった。（THE ANSWER編集部）