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「あとは奥さんによろしく、じゃなく…」 育児をSNSで積極発信、新しいパパアスリート像の体現

THE ANSWER / 2024年11月29日 6時33分

今季から“新米パパ”となった31歳アルバルク東京のザック・バランスキー【写真:B.LEAGUE】

■パパとして初のシーズンを迎えたバスケBリーグのバランスキー

 育児と競技を両立する女性アスリートの話題が増えた昨今だが、日本ではまだまだ男性アスリートの父親としての側面が強調される機会は少ない。そんな中、異彩を放っているのがバスケットボールBリーグのアルバルク東京に在籍するザック・バランスキーだ。今季から“新米パパ”となった31歳に、SNSで積極的に育児の様子を発信する理由を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)

「毎日毎日可愛すぎて、自分と奥さんだけにしか見せないのはちょっともったいないかなって」

 冗談めかして笑うバランスキーの表情は我が子への愛に満ちていた。2021年8月に、Wリーグで活躍した元バスケ選手の石原愛子さんと結婚。今年6月に第1子の長女が誕生した。インスタグラムの投稿欄は、愛娘の天使のような笑顔で溢れている。ミルクをあげたり、抱っこしたり、寝かしつけたりと、新米パパとして奮闘する自身の姿も積極的に共有。「家族が大好きなので」。その理由はいたって単純だ。

 米国人の両親を持つ栃木県生まれの31歳。自身も幼少期に米国で過ごした時期があるが、10歳からはずっと日本で生活してきた。元々バスケが全てというタイプではなく、常に一番は家族。「SNSは自分があげたいものをあげる場所かなと思う。バスケも大好きだけど、やっぱり一番は家族との記憶を自分のためにも残したい」。米国で暮らす家族に、孫の成長を共有できるという意図もある。

 Bリーグの前身NBL時代からアルバルク一筋11年目。主将就任2季目のベテランだが、パパとしては初のシーズンだ。「やっぱり守るものが増えて、より頑張らなきゃと思う」。2桁得点を連発するようなエースではない。しかし、体を張ってスペースを生み出し、ここぞの場面でリバウンドと得点をもぎ取る縁の下の力持ち。生後5か月の娘の記憶にはまだ残らないが、父親として見せたい姿がある。

「キャプテンをやっているのもあって、自分のエゴを消して常にチームのために何ができるか意識してやっている。パパは一番点を取る人じゃなくても、常にやれることを頑張って、周りのことを思って行動している。それをかっこいいと思ってくれたらいいな」

 愛娘の存在が、目立たない仕事であと一歩を踏み出す原動力になっている。もう一つ、忘れてはいけないのが妻・愛子さんの献身だ。コートに全身全霊を注げるのは「一番理解してくれる最高のパートナー」がいるからでもある。


選手と育児の両立を目指すバランスキー。女性選手も、出産や育児で競技を諦めなくていい未来を夢見る【写真:B.LEAGUE】

■女子選手も出産や育児で競技を諦めなくていい未来を「何ができるかはわからないけど…」

 プロアスリートには遠征がつきもの。パフォーマンス向上には睡眠も重要だ。「僕も娘とめちゃくちゃ関わりたい。やれることはやりたいし、ちょっとでも多くの時間を一緒に過ごしたい」と願うが、難しい時もある。「オフは夜中のミルクやオムツ替えは起きたほうがやる感じだが、シーズンが始まると奥さんが『いいよ、私やるよ』と気遣ってくれる」。妻のサポートに、感謝は尽きない。

 ただ、こうした内助の功は圧倒的に女性に偏っているのが日本の現状だ。「海外では出産しても競技を続ける人が多い中で、日本はそういう環境がない。産んでからまた復帰できる環境がもっとあったらいいよね、という話は奥さんともしている。何ができるかはわからないけど、いずれ日本もそういう環境が整ったらいいなと思う」。女性選手も、出産や育児で競技を諦めなくていい未来を夢見る。

 バランスキー自身も「子どもが生まれて『あとは奥さんによろしく』じゃなくて、『旦那も一緒に育てるべき』という言い方が合っているかはわからないけど、僕の場合は自然とやれることはやりたいなと思った」と選手と育児の両立を目指す。子育ての様子を積極的に発信する男性アスリートはまだまだ少ないが、「絶対に家族が大好き、子どもが大好きなパパはいっぱいいる」とも感じている。

 子育てしながら活躍する女子選手が“ママアスリート”と注目される一方、子持ちの男子選手が“パパアスリート”と称される機会は少ない。「育児は女性の仕事」という考えがまだまだ根強いからだろう。そんな中、哺乳瓶や絵本を手に微笑むバランスキーのSNSでの姿は異彩を放っている。

「みんながもっと子育てに積極的になったらいいなとは思う」。そんな願いを抱きつつも、SNSはあくまで「僕がただただ好きなものをあげているだけ」と、そこに大きな意図を持たせるつもりはない。それでも、家族愛に溢れたバランスキーの投稿は、スポーツ界に新たな風を吹き込んでいるように思える。(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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