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1万4000人を魅了、羽生結弦の滑りに透けた「準備」と「挑戦」 記者が驚いた「チャンスを掴む」の意味

THE ANSWER / 2024年12月8日 7時43分

「ICE STORY 3rd -Echoes of Life- TOUR」初日、1万4000人を前に舞った羽生結弦【写真:荒川祐史】

■全国ツアー「ICE STORY 3rd -Echoes of Life- TOUR」が開幕

 フィギュアスケート男子で2014年ソチ、18年平昌と五輪連覇を達成しているプロスケーター・羽生結弦さんが出演・制作総指揮するアイスストーリー第3弾「ICE STORY 3rd -Echoes of Life- TOUR」が7日、さいたまスーパーアリーナで開幕した。1月に広島、2月に千葉を回る全国ツアー。30歳の誕生日に初披露した壮大な物語の裏に、計り知れない努力の跡を感じた。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)

 記者は会場のさいたまスーパーアリーナに早めに到着。観客のワクワク感を分けてもらうため、会場周りを歩いた。開演4時間前の13時頃、羽生さんの巨大なパネルが掲げられた正面口近くには、既に長蛇の列が生まれていた。韓国、中国など海外から訪れたファンも多数見かけられ、予想していた賑わいをはるかに超えていた。

 羽生さんの取材は初めて。国内外からこれほどまでに支持される、その理由の一端に触れることができた気がする。

 観客は満員の1万4000人が集結。その視線を独り占めできる者はそういない。緊張感漂う公演初日。期待に応えなければならないプレッシャーもある中、当たり前のようにジャンプ、スピンを決めていく。簡単じゃないのに、簡単に見せるところにまず凄さを感じた。

 そこが氷の上であることを忘れてしまうくらい軽快なステップを見た時、今季のNHK杯で取材したジェイソン・ブラウンの言葉を思い出した。カナダのクリケットクラブで同門だった間柄。「ユヅルに学んだ一番のことは、決意」と語っていた。

「自分が今日達成したいことを達成するまでは、氷を降りないという凄い決意がある。それだけの情熱と原動力を持って、練習に臨んでいる。そこが素晴らしいと思ったよ。大会だと簡単にやっているように見えて『彼だから簡単で問題なく、ミスなくやるんだ』と思っていたら、実はその裏側のものすごい練習量を見て、なぜあれほどのスターになったのかよく理解できたよ」(ブラウン)

 この日、目に焼き付いた美しいスケーティングの裏では、壮絶な準備があったに違いない。公演中、無音の中で滑り、完璧なジャンプを決めたシーンがあった。誰でも震え上がるようなシチュエーション。重圧を跳ねのけたのも、単に「羽生結弦だから」ではなく、いくつもの段階を超えた先の結果なのだろうと想像させられた。


2時間半、アンコールを含めて計15曲を完走。演出の全てにこだわった【写真:荒川祐史】

■五輪連覇王者が語った「絶対にチャンスを掴む」に驚き

 演出の全てにこだわりを詰め込み、スクリーンに流れる映像もまるで羽生さん主演の映画のようだった。制作総指揮したのがスケーター本人と考えると、どれだけの時間を費やしてきたのかと驚かずにはいられない。

 もう一つ驚いたのが、公演後の取材で見た羽生さんの姿勢。五輪では1952年のディック・バトン氏以来、66年ぶりの連覇を達成。スケート界では誰もが認める伝説を打ち立てた。そんな男がこの日、「自分自身の未来に、それこそ希望を持って、絶対にチャンスを掴むんだっていう気持ちを常に持ちながら、練習もトレーニングも本番も臨みたいなと思います」と口にした。

 まるでまだ実績のないアスリートが、これから来るチャンスを窺っているかのような言葉だった。「今という中で最善を尽くしていくこと」とも話したように、今をよりよく生き、挑戦を続けることで未来に繋げていくのが、彼の基本姿勢なのかもしれない。

 この日、30歳の誕生日を迎えた。「『30っておっさんじゃん』って思っていた頃とは違った30代を迎えることができたなって、何となく思っています」。まだまだやれる。約14分の囲み取材で、理路整然と熱い思いを語った。

 2時間半、アンコールを含めて計15曲を完走。取材後はリンク上でファンに示したように、報道陣にも深々と一礼した。「はぁ、疲れた(笑)。割とね、ヨロヨロしてるんですよ」。緊張から解き放たれた羽生さんの表情は、言葉とは裏腹に晴れやかだった。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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