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あの武豊が「不思議な馬」と評したドウデュース 放牧明けの馬体にあった“距離不安”を覆す根拠

THE ANSWER / 2024年12月12日 10時33分

2021年の朝日杯FSを制した武豊騎乗のドウデュース【写真:産経新聞社】

■2021年朝日杯FSを優勝したドウデュース

 新たなスターは誕生するのか。2歳牝馬の戦いだった先週に続き、今週は2歳牡馬のマイル王を決める朝日杯フューチュリティステークス(FS、芝1600メートル)が15日に京都競馬場で発走となる。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏にとっては思い入れのあるレース。今や現役最強馬に君臨するドウデュースを“先物買い”できたのはなぜだったのか。距離適正に揺れ動いた当時の予想の根拠に迫った。

◇ ◇ ◇

 来週の有馬記念で現役を引退するドウデュース。2歳、3歳、4歳、5歳と4年連続でG1を勝利するという輝かしい成績を残しているが、その最初のG1がここ、2021年の朝日杯FSだった。

 小倉芝1800mでデビュー。当時はきょうだいのフラーレンやロンズデーライトがダートで勝ち上がっていたこともあり、友道康夫調教師は「この馬も少し捌きは硬いかも」と話していた。しかし、新馬戦の1週前追い切りに騎乗した武豊騎手が「芝向きのフットワーク」と感触を掴んで、初戦からきっちり結果を出した。

 2戦目も同じ距離、芝1800mのアイビーSだったが、舞台は東京。同じ距離を使うためにこの番組を選択したということもあるが「ダービー」を視野に入れた時、東京競馬場を経験させておくというのは、友道イズムのひとつでもある。ここでもきっちり結果を出して、次走は朝日杯FSという選択になる。

 アイビーSの後、放牧に出て、栗東へ帰厩して最初に思ったこと。それが「馬体がパンプアップされた」というビジュアルの変化。その姿を見て、すぐに思い浮かんだのが、同じハーツクライ産駒のサリオス。「しなやか」というよりも「ごつい」という表現が分かりやすいかなというくらい迫力がある馬体で、そのサリオスは2019年朝日杯FSを勝っている。もう、この時点でドウデュースに「◎」を打つことはほぼ決まっていた。

 しかし、POG取材で「母レキシールーが凄くいいんですよ」と安田隆行調教師(現在引退)から教えてもらっていたダノンスコーピオンも新馬、萩Sと連勝で朝日杯FSへ出走してくることが分かった。

 困った、本当に困った。どちらも良い馬だし、G1を勝つ素質があるのはこれまでの経験で察することができた。でも、このレースで勝つのはどちらだろう。自分の感覚では1番人気、2番人気の扱いだが、世間評は重賞を勝ったセリフォス(1番人気)やジオグリフ(2番人気)に集まる。こんなおいしいレース、なんとしても的中させないといけない。

■「距離不安説」を覆せた根拠は…

 そう思っていると、ドウデュースには「距離不安説」があることを耳にする。その内容は「2戦とも1800mでマイル経験がない」「マイルの流れでは前半置かれる」というものだ。私も同じような発想でそういったパターンを軽視する場合がある。しかし、ドウデュースに関しては、放牧帰りにその馬体を見てマイルには不安はないと思ったのだから、それをファンに伝えないといけないという気持ちもあって、最終的にはこちらを本命にした。そして、当時の予想コラムにはこんなことも書いていた。

「1週前追い切りがCWで単走、武豊騎手が跨りましたが、最後の直線を逆手前のままで6F78.4秒をマーク。この走りに対して、幼いと評価するのか、余裕があると評価するのかは年齢的に難しいところ。これに対して、友道康夫調教師に意見を求めると『ジョッキーは余裕があるから手前を替えていないと言っていた』とのこと。やっぱりそうなんだ、と感じるとともに『不思議な馬なんですよ』と武豊騎手がコメントしていたそうです。

 これもやっぱり。なぜかというと、これだけ掻き込みの強いフットワークをしているにもかかわらず、これだけのスピードが出るんですから、パワータイプなのか、スピードタイプなのか、判定が難しいんだと思います。加えて、このスピードで走りながら、最後まで余裕があったり、前走の入線後も勢いがあったり。スタミナもあるんじゃないかと思ってしまいます。ここを走れば、どんな馬なのか、という形は見えてくるんでしょうが、そうなると今回のような単勝オッズにはならないでしょう。だったら、今のうちにしっかりと単勝を買っておきたいという気持ちもあります」

「単勝7.8倍」は過去8勝で最も高い配当。今年の出走馬に「今のうちにしっかり単勝を」という馬はいるだろうか。ちなみに2021年は単勝4番人気以内の馬はすべて「無敗」で2連勝か3連勝していた。そして、その4頭(ドウデュース、セリフォス、ダノンスコーピオン、ジオグリフ)は3歳でG1を勝っているのだから、レベルの高い朝日杯FSだったのは間違いないだろう。(井内 利彰 / Toshiaki Iuchi)

調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。競馬予想TV!(フジテレビONE)に出演中。JRAの競馬場、ウインズのイベントに出演し、JRA主催のビギナーズセミナーの講師としても活躍。著書に「競馬に強くなる調教欄の取扱説明書」「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」などがある。

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