日本野球は「ジーンズと似ている」 東京のバッティングセンターも体験、米MLB記者が感じた魅力
THE ANSWER / 2024年12月18日 7時44分
■プレミア12取材後に向かったのは神宮のバッティングセンター
スポーツが国境を越えて人を繋げる。11月に行われた野球の「ラグザス presents 第3回 WBSC プレミア12」では、国際大会ならではの交流がいくつも生まれた。それはグラウンド上に限らない。
東京ドームで意気投合したアメリカの記者と、大会終了後に向かったのは都内のバッティングセンター。野球談議に花を咲かせたひと時を前後編でお届けする。(前後編の後編、取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
◇ ◇ ◇
快音とともに「That’s what I’m talking about(これだよこれ)!」と歓喜の声が響き渡った。11月25日、明治神宮外苑のバッティングドーム。買ったばかりの侍ジャパンのユニホームを着てバットを振ったのは、MLB公式サイトのマイケル・クレア記者だ。
昨年3月、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)東京ラウンドの取材で来日。味わった日本のスナック菓子やコンビニスイーツなどをSNSでユニークに発信し、日本の野球ファンにも知られる存在になった。
約20か月ぶりの東京。連日のプレミア12取材を終え、ようやくゆっくりできる時間がやってきた。帰国前の唯一のオフ日。バッティングセンターを選んだのは、一緒に来日したフォトグラファーのジョー・ナ氏が撮影した映像が使用されているからだ。
同施設ではNPBの現役&OB投手に加え、パドレスのダルビッシュ有投手、レンジャーズのマックス・シャーザー投手(現在はフリーエージェント)の映像が用意されていた。MLB2投手の素材はナ氏が提供したもの。
マシンの投球に合わせて表示されるバーチャル映像を見たナ氏は「僕が撮影した映像だ!」「こんな風に使われているんだね」と歓喜。米国では珍しい形式のようで、クレア記者も「本当に対戦しているみたいだ」と感嘆した。
メジャーを代表する2人の右腕との真剣勝負を終え、次はNPBのコーナーへ。するとクレア記者の目が輝いた。「これは対戦してみないと」。そう言って指差したのは「TOMOYUKI SUGANO」の文字。巨人から来季オリオールズに移籍する菅野智之投手だった。米メディアには1300万ドル(約20億円)の1年契約と報じられている。
いざ対峙してみると、腕から始動する2020年の独特な投球フォームに苦戦。「タイミングが取りづらいね」。NPBで沢村賞2度など幾多のタイトルを獲得した35歳の右腕を前に、MLB公式記者のバットは空を切った。
プレミア12を取材したマイケル・クレア記者【写真:本人提供】
■日本野球の魅力は「ジーンズと似ている」
今回の来日では、侍ジャパンだけでなく巨人やDeNAのユニホームも購入したクレア記者。日本野球の魅力を聞いてみると、「ディテール(細部)へのこだわり」という答えが返ってきた。引き合いに出したのは、東京で入手した日本製のデニムジャケットだ。
「侍ジャパンを見ていると、とてもチーム野球だと感じる。守備も走塁も全てが重要で、小さなことまできっちりこなしている。ジーンズと似ていて、日本でジーンズを買うと、ディテールまでこだわっていることがわかる。侍ジャパンも同じ。日本は420フィート(約128メートル)の特大ホームランと同じぐらい、些細なことへの心配りも大事にしている」
同じ野球という競技でも、各国で育まれてきた文化は違う。そしてその差異こそが、国際大会を面白いものにしている。「常に上達したいと思っているアスリートにとっては特に、新しい人と出会い、新しいことに触れ、新しいことを学べるのは素晴らしいこと」と同記者。今大会に出場した米国の選手やコーチも、日本のプレースタイルや練習方法に興味津々だった。
ドジャースの大谷翔平や山本由伸ら、メジャーで活躍する日本人選手の影響も大きい。「米国にはショウヘイの構えで打席に立つ子どもたちもいるんだ。憧れの選手は真似したくなるもの。ヤマモトを見て、『スプリットはどうやって投げている? スライダーは?』と質問する投手も間違いなくいる」。クレア記者はそんな国際交流に明るい光を見い出す。
「それが野球をより良くし、世界を少し小さくするんだ」
クレア記者は大会期間中、東京・新宿区の野球居酒屋「あぶさん」を訪れるなど、日本の観戦文化を体験しようとした。コンビニではたまごサンドを中心に様々な味にも挑戦。野球少年に戻り、日本のバッティングセンターで汗を流す姿からは、異国の優れた部分を肌で感じ、吸収したいという熱い想いが溢れていた。(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
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