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「僕のこと、年寄りやと言ってるんですか?」 笑い飛ばす37歳・織田信成が「ギリギリ」の今見せたい背中【全日本フィギュア】

THE ANSWER / 2024年12月20日 6時33分

全日本選手権の前日練習に登場した織田信成【写真:中戸川知世】

■全日本選手権が20日から開幕

 フィギュアスケートの全日本選手権が20日から大阪・東和薬品RACTABドームで行われる。男子シングルには実に11年ぶりの出場となる織田信成(大阪スケート倶楽部)が登場。今も4回転ジャンプを跳ぶ37歳は、今季で競技生活に2度目の区切りをつける。19日に同会場で公式練習を行い、最後の大舞台を前にした想いを語った。

 開幕直前。X(旧ツイッター)上で話題になっていたある情報に、織田が反応した。

 全日本フィギュアの男子シングルは、過去12年の優勝を羽生結弦と宇野昌磨が独占。そんな2人が競技から離れ、今大会は「誰が勝っても初優勝」になるかと思われたが、2008年覇者の織田がその状況を“阻む”存在になっていた。

「織田君がおるから『誰が勝っても初優勝』ってあんまりメディアも大きい声で言えないの、めっちゃおもろいみたいなポストを見て『なんか迷惑かけてるんかな……』とちょっと思いました(笑)」

 37歳になった。全日本出場は実に11年ぶり。2013年に一度は競技から引退したが、22年に戻ってきた。今も4回転ジャンプを跳ぶ実力はあるが、「膝と腰がもたない」と今季で再び競技生活に区切りをつける。

「ギリギリで毎日生きているので(4回転が)明日になったら跳べないとか、本当にザラにある。ただ、調子が悪い時でも『4回転を1日何回か絶対成功させるぞ』と練習してきた。肉体的には4回転を跳ぶ体はできていると思う。結果は神のみぞ知るで、本番は思い切って跳びたい」


SPで演じるのはマツケンサンバ2。「最高の笑顔で終われる大会にしたい」と意気込む【写真:中戸川知世】

■「僕のことを年寄りやと言ってるんですか?」 フィギュアで表現したい姿

 競技の世界では大ベテランといっていい年齢になった。中学生になった息子と同世代の選手もいるが、「僕のこと、年寄りやと言ってるんですか?」と笑い飛ばす。10代で全盛期を迎える選手も少なくない世界で、見せたい背中がある。

「若い子に言いたいのは『37って思ったより体キツイぞ』って(笑)。無理がきいたりする体ではないんですけど、その中でもできるんだぞっていうのは見せたい。

 体が軽かったり、若いうちの方ができることがいっぱいあるスポーツだと思う。でも、フィギュアスケートは技術だけじゃなくて芸術のスポーツ。引退してからもアイスショーで培ってきたお客さんに喜んでもらう力、見せる力をアピールしたい」

 地元・大阪で迎える最後の全日本。SPは「国民的盛り上げソング」と表現するマツケンサンバ2を演じる。会場には「ほとんど見に来ない」という家族も駆けつける予定だ。

 涙もろい織田の涙腺が崩壊したのは、この日の出発前の出来事を振り返った時。自宅で長男が「試合、頑張ってな」と初めて言ってくれた。取材に応じていたミックスゾーンで堪えきれず、ティッシュで目元をぬぐった。

 本番前に泣くつもりなんかなかった。しゃがみ込み「ちょっと待って、なんで泣いてるん」と思わず自分にツッコミを入れる。「日頃何しているか全然知らないと思うので、こういうことをしているんだよってしっかり家族にも伝えたい」と誓う。

 目標の一つが、フリーを最終組で迎えること。「笑顔で終わりたい。ジャンプが決まろうが決まらなかろうが、結果がどうであれ最高の笑顔で終われる大会にしたい」。まずはSP。ノリノリのマツケンサンバを完遂し、RACTABドームを360度の笑顔で包みたい。(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)

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