渋野日向子ソフトボール大会の意義を元日本代表痛感 「彼女は凄く大きなものを背負ってる」
THE ANSWER / 2024年12月22日 19時0分
■ソフトボール大会「渋野日向子杯」を開催
女子ゴルフの渋野日向子(サントリー)が地元で主催する小学生のソフトボール大会「渋野日向子杯」の決勝大会が22日、岡山県野球場で行われた。第1回の2022年から3年連続の開催となり、21日の予選、準決勝に続き、県内の小学生が参加。渋野が始球式やホームラン大会に登場するなど大盛況に終わり、参加した元ソフトボール女子日本代表も感謝の言葉を繰り返した。
2つの競技にとってプラスになる大会だった。渋野は小学6年までの約5年間、ゴルフとともにソフトボールにも熱中。投手経験もあり、この日は始球式で豪快なウィンドミルを披露した。元ソフトボール女子日本代表の山田恵里さん、原田のどかさんと1打席ずつのガチ対決。原田さんを中飛、現役時代に「女イチロー」の異名を取った山田さんを一ゴロに。ともに初球を詰まらせ、歓声を浴びた。
小学生サイズの外野フェンスで行われたホームラン大会では、デモンストレーションで打席へ。全3球とも柵越えはならなかったが、1球はフェンスまで飛んだ。山田さん、原田さんは当然のように3球とも本塁打。右翼、左翼、中堅と狙い通りに打ち分け、子どもたちから憧れの眼差しを向けられた。
2008年北京、21年東京五輪金メダリストの山田さんは「ソフトボール界にとってもありがたい」と開催の意義を痛感した様子。「子どもたちは凄くいい思い出になったと思うし、この経験がどんどんと次に繋がるんじゃないか」と感謝し、ガチ対決には「原田さんが詰まったので早めにタイミングを取ろうと思ったら緩急を使われて。ちょっと先っぽに当たって小指が痺れた。ホームラン大会で挽回できてよかった」と安堵した。
3大会連続で始球式で打席に立った原田さんは、今季限りで引退したばかりだった。「3度目の正直だと思って打席に入って、初球が中堅に行ったと思ったけど、どん詰まり。現役最終戦は三振だった。もう1打席をもらったつもりで、三振ではなく中飛で終われたと思っておきます」と笑顔。「私も楽しいし、子どもたちにも良い一日。こういう素晴らしい大会を岡山で感じられてよかった」と地元開催を喜んだ。
豪快なウィンドミルも披露した渋野日向子【写真:浜田洋平】
■渋野のツアーを観戦した山田「凄く大きいものを背負ってる」原田「人生を懸けている」
渋野が中学進級前に子どもたちが笑顔でプレーできる環境を提供し、小学校生活最後の思い出になることを願って始まった大会。男女混合16チーム(288人)、女子4チーム(63人)の計351人が参加した。渋野はスナッグゴルフ教室で初心者の少年少女を丁寧に指導。元日本代表の2人はソフトボール教室で熱心に声を張り上げた。
2人は渋野のツアーを生観戦。戦う姿から刺激を受けたという。
山田さん「私は2回目の観戦。凄く大きいものを背負っているなと生で見て感じました。そういう世界で生きるのは凄く大変。私も世界で戦ってきた者として共感できます。自分の感覚と違う自分が一人歩きする部分とか。精神的な部分がゴルフは出やすいと聞いたけど、そういう気持ち一つでプレーが変わるような精神的にも研ぎ澄まされた状況で結果を出し続けるのは、本当に並大抵の努力でできるものではないです。
背負っているものの大きさを感じているからこそ、それが一打一打のプレーに表れているなと感じました。私は引退したけど、何かに挑戦したり、勝負したりすることは素晴らしい。私もその気持ちで過ごしていきたいとプレーを見て感じたので、負けじと頑張りたいです」
原田さん「身が引き締まりました。何かに人生を懸けて取り組んでいる方がこんなに身近にいる。その現場を初めて見に行って、緊張感だったり、そこに懸ける想いだったり、競技が違うけど世界で戦っている方を目に前にして、そういう方に負けてはいけないなと思いました。
競技は違うけど、世界を目指す大切さは改めて感じさせてもらった。凄く刺激になったし、もっともっと応援したいと思いました。ソフトボール大会に関しても快く開催してくださるし、ソフトボールのことを思ってくれているのを感じた。試合も楽しかったし、渋野プロのそこに懸ける真剣な想いを学ばせてもらったので、また応援に行きたいなと思いました」
来年以降も継続させたい意向。原田さんが「呼んでいただけたら何でもする。(山田さんと)2者連続本塁打ができるようにそれをモチベーションに1年間頑張りたい」と笑えば、山田さんも「始球式で本塁打を放つのが目標。それを掲げて1年頑張りたい。初球打ちとか気にせず駆け引きをしたい」と冗談を飛ばした。
渋野は米ツアー本格参戦3年目の今季、6月に全米女子オープンで2位、全米女子プロ選手権で7位に入るなど海外メジャーで上位に入り、2季ぶりの年間シードを手中に収めた。来季は日本勢13人が米ツアーを主戦場にする。「楽しみだし、もっと頑張らんといけん」と背筋を伸ばし、日米ツアー通算7勝目を挙げた21年10月以来の優勝へ「なるべく早く勝ちたい」と力を込めた。(THE ANSWER編集部)
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